――薬科大学はどうでしたか？ さくらこ：当時付き合っていた彼氏と「結婚できたら辞めよう」くらいの軽い気持ちでいたんですが、薬科大学を3留して、29歳の時に彼氏にも振られました……。 ――どうしてそんなに留年したんですか？ さくらこ：1留目は大学2年生の時で、時間割に絶望してドロップアウト。2留目は大学3年生の時で、深部静脈血栓や過敏性腸症候群で病欠。3留目は、普通に卒業試験に落ちました。 ――大学卒業から現在に至るまでは？ さくらこ：大学卒業後は、国家試験浪人で予備校に通っていました。大学6年次の国家試験は妹の結婚式の2週間後だったので、結婚式前に二人で引越しをしたりしていて、忙しくて落ちました。その後1年浪人して、今年3月に第108回薬剤師国家試験に合格しました。 ――おめでとうございます……！ ちなみに成績はどうでしたか？ さくらこ：合格ラインが470点のところ、478点ですね。 ――めちゃめちゃギリギリ合格じゃないですか（笑）。 さくらこ：今年はいつもより（合格基準が）40点くらい高かったです。「物理・化学・生物」は合格ラインちょうどだったので、あと一問でも間違えていたら不合格でした。冬の模試では167点（国試でいう334点）だったので奇跡です……。 【女子大生活15年＋浪人1年の内訳】 フェリス女学院大学……4年間在学 フェリス女学院大学院……2年間在学 横浜薬科大学……6年間+3留年（計9年間在学） 国家試験浪人……1年間の予備校通い ――学費はどのように工面してましたか？ さくらこ：学費を出してくれたのは親族です。感謝しています。親は私のことを「勉強が大好きで大学に残って先生のお手伝いをしている」と世間様に言っていました。女の子には公務員か薬剤師になって欲しかったようなので、親孝行できたかなと思っています。親が死ぬ前に薬剤師国家試験に受かって良かったです。 ――なぜ薬学大学は卒業まで時間がかかったのでしょうか？ さくらこ：結婚したら辞めるつもりで入ったので舐めてました。それに中学受験以降、努力したことがなかったので、「本気を出せばできる」とも思っていました。 　文系（フェリス女学院）の時は、週に2日くらいしか学校に行かなくてもレポートや試験を頑張れば単位がもらえる時代でした。そして自分の興味のある科目だけを取って学べます。薬学部もそのつもりでした。でも実際は、週に5日朝から晩まで学校に行かなくてはいけません。ほとんどの科目が必修で全て取らなければいけませんでした。 ――15年間での環境の変化は？ さくらこ：（女の子は）奢ってもらうのが当たり前の時代から、いつしか割り勘の時代に。そして結婚後の女性の在り方が、専業主婦からパート、共働きの時代になっていました。 　あと、大学に毎日通うのが苦手だったので、コロナ禍のリモート授業で卒業できたというのもあります。世の中は大変でしたが、個人的にはとても助かりました。 　他には、昔に比べて医学部や薬学部、理系でも普通にかわいい子がいるなと感じました。今の学生は15年前に比べてパワハラ・セクハラに敏感だなとも思いました。 ――まわりの同級生の反応は？ さくらこ：妹と一緒に薬学部に入ったのですが、妹が4年先に薬剤師になりました。薬学部では年上なので、逆によくパシられてました。代返（※出欠確認で他の人の代わりに返事をすること）4人分頼まれたりしてました。 　それから国試浪人の時に通学していた予備校の先生が元同級生で、予備校Aには現役の時の同級生が先生にいて（7歳年下）、予備校Bには2留目の時の同級生が先生にいました（9歳年下）。留年しすぎて時空が歪んでいました。