仕事

寿司職人、NYでは下っ端レベルで年収1000万円「“日本人”というだけで海外では引く手あまた」

短期間&オンライン指導でどのくらい上達するのか?

オンラインレッスンを受講している様子

オンラインレッスンを受講している様子

 こうしたなか、寿司スクールも活況を帯びており、以前は、卒業する前までに挫折することが多かったとのことだが、「寿司職人=高給取り」がだいぶ定着してきたこともあり、真剣に取り組む受講生も増えている。  しかし、東京に寿司スクールが集中していたり、寿司屋で働くイメージができなかったり、実技に偏った指導で応用力が身につかなかったりと、さまざまな課題が存在する。  菊地さんが5月に開校した日本寿司リーディングアカデミーは、短期間で寿司職人を養成する独自のメソッドと、知識とノウハウが身につく座学用のテキストが特徴になっている。 「現役の寿司職人がオンラインで、包丁の持ち方から魚のさばき方まで、寿司職人のいろはをわかりやすく、かついろんな角度から撮った映像で指導するので、それを真似るだけでスキルが身につくんです。YouTubeとかだと、都度映像を止めながら手を動かしますが、うちの場合は先生役と生徒役の2人体制で映像を撮影しているので、その通りに実践すれば、自然と技術を学べる仕組みになっています」

未経験からの寿司職人ドリーム

実習の様子

現役寿司職人による実習の様子

 開校したばかりのため、まだ卒業生は輩出していないが、モニターで参加した女性の例でいうと、普段はレシピを見てカレーを作っても焦がしてしまうほどのズボラな性格でも、1度動画を見てだけで、アジをさばいて握り寿司を作れたとか。 「今後は受講者を増やしつつ、インターンシップ先の開拓やFC展開など、事業の成長に合わせてビジネスを広げていきたい」と菊地さんは意気込む。  寿司職人の世界では、「飯炊き3年、握り8年」というのが定説となっているが、急激に需要が増加している状況では、猫の手も借りたいくらいほど人材獲得に必死にならざるを得ないわけである。  ChatGPTやGoogleのBardといった生成AIの登場で、エンジニアの職が奪われることが危惧されているなか、寿司を握る寿司職人はまだまだAIによって代替されづらい職業と言えるかもしれない。未経験から寿司職人ドリームへ。可能性は広がるばかりだ。 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ