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寿司職人、NYでは下っ端レベルで年収1000万円「“日本人”というだけで海外では引く手あまた」

海外では“寿司職人争奪戦”状態

 日本の食文化を代表する「寿司」。日本人にとってはソウルフードとして、老若男女問わず愛され、近年では外国人にも「SUSHI」という形で、寿司人気が高まっている。  しかし、寿司を味わいたい・食べたいという「需要」に対して、魚をさばいて寿司を握る寿司職人、いわば「供給」の部分が圧倒的に足りていない現状がある。寿司専門の学校数が少ないのはもとより、寿司職人を育てても慢性的な人材不足から“引き抜き”が相次ぎ、寿司業界の間では激しい“寿司職人争奪戦”が行われているという。  そんな背景もあり、アメリカ・ニューヨークでは下っ端レベルで年収1000万円、一端の寿司職人になれば、チップも含めて年収3000万円を稼ぐこともあるのだとか。いま、異業種から転職し、海外出稼ぎで寿司職人を目指す人が増えている。  だが、日本の寿司職人の世界は「飯炊き3年、握り8年」とも言われており、一人前になるには時間が掛かりすぎる。一方、海外では寿司職人として本格的な技術を学べる学校や環境が整っておらず、“なんちゃって寿司屋”が横行、食中毒が増加するといった問題も起きている。
日本寿司リーディングアカデミー

「日本寿司リーディングアカデミー」を立ち上げた株式会社ふじなが 代表の菊地英晃さん

 こうした課題を解決し、短期間で寿司職人を育成することを目的に2023年5月に開校したのが「日本寿司リーディングアカデミー」だ。同校の代表を務める菊地英晃さんに、寿司業界の動向や寿司職人が海外で求められるワケについて伺った。

野蛮に思われていた寿司がおしゃれな存在に

「私が子供の頃、海外では魚を生で食べることが“野蛮”だと思われていた」  そう語る菊地さんは、海外における寿司ニーズのトレンドについて次のように説明する。 「私はカナダや台湾など、海外生活を送っていた時期がありました。その当時はチャイナタウンなど、中国人が多く住むエリアにそもそも欧米人は白米や生魚を食べる習慣がなく、アジア人が集まる地域を中心に『SUSHI』という食が徐々に根付いていったのだと考えています」  それが、ヘルシー志向や和食に対する評価が高まっていったのを受け、次第に欧米人にも日本のSUSHIが浸透していき、いつしか日本食の中でもポピュラーなものになったわけだ。 「何かがトリガーになっているわけでもなく、自然とSUSHIの認知が広まっていった感じだと思います。最近ではハリウッド映画でSUHSIが取り上げられたり、ハリウッドスターがSUSHIに注目していたりするのも影響して、『“野蛮”なものから“オシャレ”の象徴』という見方に変化しています。欧米人のデートでは、寿司屋に行くのがステータスになっているくらい、SUSHIの人気が沸騰しているんです」
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ニューヨークでは下っ端でも年収1000万円
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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