更新日:2023年06月09日 13:40
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「こいつはセクシー女優だと見下してほしかった」戸田真琴が語る、デビューの理由と引退の真相

セクシー女優が「頑張る」意味がわからない

――確かにセクシー女優さんの「頑張る」は、何をどう頑張ればいいのか、わかりませんよね。 戸田 イベント対応を丁寧に頑張るのはわかるけど、撮影中に頑張るって、どうすればいいんだろ? 喘ぎ声を大きく上げればいいのかというと、それも違う。デビュー作で普通にびっくりして素の大きな声が出てしまったら「声がうるさい。全部わざとらしい。演技をしている!」とレビューを書かれました(苦笑)。与えられたものは、できる限り頑張ってはいたけど、でもやっぱり、セクシー女優という職業は“外見”で左右されるところがあまりに大きい仕事。見る人が、女優の容姿から想像する人柄や雰囲気があって、そこに従順であることが大事なので、私のような外見と中身にギャップが有るタイプは親和性が低い。そもそも、売れる体型や顔立ちや声というのがあって、そこにはまらない女優が売れることがすごく少ないなという体感もありました。冒険しないユーザーが多いというか。こちらからでは努力の幅が限られているものが多すぎる。それで、セクシー女優だけを実直にやってても、私のスペックでは生き残っていけないなと。だから直接ファンのみなさんと話せるイベントの機会は大切にしたし、個性を見せていく中で文筆業や創作活動へと繋がっていきました。 ――人前で裸を見せること、人前でセックスをすることっていうのはどんなことだった? 戸田 はじめは本当に右も左もわからなかったのですが、少し慣れてきた頃からは、自分でもちゃんとエロいと思える作品を作りたくて一生懸命でした。どんなに現場の照明が明るくても、大変なプレイでも、いい作品にしたいと誇りを持って挑めていた。大抵のスタッフさんはみなさん、情熱と節度を持った立派な方たちです。でも、すごくたまに個人的な下心を隠しきれていないスタッフや、エキストラの人が必要のないところでジロジロと見てきたりとか、用がないのに話しかけてきたり、指示された以外のプレイをしてしまうエキストラ男優がいたりすることもありました。そういうことがあると、急に傷つけられた気持ちになる。そういう嫌な瞬間は何度もあって、撮られるということ自体に気持ちがすごく冷めてしまうことがありました。ほかには、もっと俗っぽいことで言うと、自分の顔の調子悪い時に、映りがよくない角度で撮られると、その作品が出たときに容姿について文句を言われるところまで一瞬で想像して撮られる事自体が嫌になることもあるし、それこそ自分の「頑張り」と見る人のこだわるところが一致しないと努力が無駄になったり裏目に出たりする。面白さと嫌さと、まぜこぜで、いろんな感情がありましたね。 ――仕事なのにちょっと下心は、なかなかしんどい部分ですね。 戸田 でも、そうはいっても矛盾するところもあって。私、いわゆる「プロ男優」すぎる人ってあんまり好きじゃなかったりするんですよね。この人は、誰にでも興奮してるふりができるんだろうな、みたいに思ってしまう。でも、仕事だから誰が相手だってできるって普通にプロとしては正しいんですけどね(苦笑)。私自身が基本的に仕事は仕事!というスタンスでありながら、相手が好みかみたいな私情は挟まないよう極力気をつけつつも、時折ついそれがなくなっちゃう時もあったりして、少し不道徳だけど、そういう瞬間は楽しんでしまったり。そういう、マジっぽいの撮れちゃった時、それはすごい見てほしいって思ってて(笑)。でも、そうじゃなくて100%演技で、ちょっと嫌だと思いながらしぶしぶ撮ってた作品の方が売れたりする。本人が興奮してるかどうかとセールスは関係なかったりして、それも「頑張る」がわからない一因だったりしました。
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文筆業で食えないなら、バイトすればいい
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