「焼き餃子280円」は安すぎる?店舗激減「テング酒場」が陥るジレンマ
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
今回紹介するのは、テング酒場を運営するテンアライド株式会社。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テング酒場の店舗数はコロナ前の64店舗から21店舗へと半分以下に減少。正念場を迎えています。飲み会需要の縮小を見越して居酒屋店を閉店し、新たな形態の店舗を出店していますが、どうもその効果が限定的なように見えます。
テンアライドの2023年3月期の売上高は前期比96.7%増の94億8900万円と2倍近い増収になったものの、13億2800万円の営業赤字(前年同期は31億3200万円の営業赤字)を出しました。
居酒屋店を運営する会社が、営業損失に陥っているのは珍しいことではありません。ワタミの国内外食事業は17億8200万円、「塚田農場」を運営するエー・ピーホールディングスも17億3400万円の営業損失を出しています。
ポイントはテンアライドの売上規模に対する赤字幅が大きいこと。ワタミの外食事業の売上高は252億円、エー・ピーホールディングスは171億円あります。売上高が100億円を下回るテンアライドが、2社と同等の営業赤字を出しているのです。
テンアライドと同規模(売上高83億7600万円)で、屋台屋博多劇場などを運営する一家ホールディングスは1億6600万円の営業利益を出しています。
テンアライドの赤字幅が大きい要因は販管費率の重さに表れています。2023年3月期の販管費率は83.5%でした。営業黒字の一家ホールディングスは63.9%。20ポイント以上もの開きがあります。
営業赤字を出しているエー・ピーホールディングスとの間でも、販管費率は10ポイント近い差が生じています。
居酒屋運営企業では珍しいことではないが…
「販管費率」は競合他社と20%も開きが
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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