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広末涼子、かつて思春期の男子を骨抜きにした“魔性の魅力”。今こそ『MajiでKoiする5秒前』セルフカバーのタイミング?

 

「芸能活動に対する葛藤」が音楽にも?

 ところが、これを境に広末のボーカルからアグレッシブさが失われていく。  4枚目のシングル「Summer Sunset」(1998年5月13日リリース オリコン最高5位)では、広瀬香美による細かい符割が少し苦しそうに聞こえました。
 つづく「ジーンズ」(1998年10月7日リリース オリコン最高4位)は「What Is Life」(ジョージ・ハリスン)を思わせる伸びやかな曲調ながら、その余裕がかえってパンチ力を失わせてしまった。朝本浩文(UAやCHARAなどのプロデューサー。2016年没)による洗練されたサウンドに合わせた面もあったのかもしれません。
 ともあれ、どの曲からも清潔なイメージに押し込まれたゆえに消化不良のエネルギーが伝わってきます。一時は引退も考えたというほどの芸能活動に対する葛藤は、いま思うと最初から音楽にあらわれていたのではないか。 「MajiでKoiする5秒前」から「ジーンズ」までのわずか5曲を、広末涼子は荒々しく駆け抜けていったのです。

今こそ「MajiでKoiする5秒前」セルフカバーのタイミングかも

 2020年に「キミの笑顔」を久々に配信リリースした広末ですが、今後本格的な音楽活動の再開はあるのでしょうか?  いまが「MajiでKoiする5秒前」をリメイクする、またとないタイミングであることだけは確かだと思います。 文/石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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