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47歳主婦「山の上のパン屋」で年商3億円になった3つの理由。法人化した1年で売上倍増

「パンを焼きたい」プロのカメラマンが入社

 また、海外のインスタグラマーの影響を受け、写真のクオリティを向上させることにも取り組みました。「山の上」というハンディキャップから、声をあげないと見つけてもらえないという強迫観念に近い感覚もあって、まずは人に見つけてもらうことが大切だと、必死にやっていきました。  そして情報発信に関して、2016年に1つの転機が訪れます。プロのカメラマンの方が「パンを焼きたい」という理由で、時々アルバイトで働いてくれることになったのです。東京で仕事をされている方でしたが、長野に移住され、仕事の手が空いたときに趣味のパンに携われたらと、応募してくれたようでした。  パンをいっしょに焼きながら、手が空いたときに私がオンラインストアに掲載する商品の撮影を行っていると、時々手を貸してくれましたが、プロの方にアルバイト代で写真を撮ってもらうのはできないので、「もし良かったら、正社員待遇でうちで働きませんか」とお誘いし、半年後に入社が決まりました。ここから急激に商品や店の写真のクオリティが上がり、SNSでの人気が加速していったのです。

自費出版本が9000部完売の大ヒットに

山の上のパン屋

長野県東御市御牧原の山の上にあるパン屋(著者写真提供)

 売上が急激に伸びた2つめの理由は、2017年に出した自費出版本『わざわざの働きかた』が、9000部完売の大ヒットとなったことです。  長野県東御市の山の上で事業を行う中で、一番困ったことが「雇用問題」でした。そもそも人口が少ないために、働きたい方と出会えるチャンスが極端に少ない。そのため雇用する際に選ぶことができず、良いマッチングができないのだということに、だんだんと気がついていきました。  そこで「こんな考え方で店を営んでいますが、誰か働きたい人はいますか?」という、採用をテーマにした内容をまとめて、自分で本をつくり、販売したのです。
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採用条件を書いたら読者から応募が
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1976年生まれ。2009年長野県東御市の山の上に趣味であった日用品の収集とパンの製造を掛け合わせた店「わざわざ」を一人で開業する。段々とスタッフが増え2017年に株式会社わざわざ設立した。2019年東御市内に2店舗目となる喫茶/ギャラリー/本屋「問tou」を出店。2020年度で従業員20数名で年商3億3千万円を達成。2023年度に3,4店舗目となるコンビニ型店舗「わざマート」、体験型施設「よき生活研究所」を同市内に出店予定
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山の上のパン屋に人が集まるわけ

健やかに、年商3億円

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