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47歳主婦「山の上のパン屋」で年商3億円になった3つの理由。法人化した1年で売上倍増

採用条件を書いたら読者から応募が

 ビジョンや経営方針なども明確に綴っており、採用条件が本になっているという話題性もあってか、1週間で2000冊ほどが完売し、重版して9000部が完売しました。『わざわざの働きかた』の巻末には採用条件が書いてあり、この本を読んだ感想文を添えて応募するという仕組みも話題を呼んで、相当数の応募が届きました。  本当に困っていたので、たくさんの応募がきたときは飛び上がって喜びました。このときに応募してくれて入社したエンジニアの方は、現在取締役として働いてもらっています。ここで労働力をしっかりと確保できたことが大きく、パンの生産量も増え、オンラインストアでの出荷もさばけるようになり、先のSNSで得た需要に対しての供給も行えるようになっていきました。  ただ、このとき掲げたビジョンはまだまだ曖昧なポエムのようで、良い部分と悪い部分があり、のちに大問題となるのですが……。でも、基本の考え方はこのときにはっきりとしました。ビジョンを掲げることの重要性は、この本からスタートしたのです。

廃業した製麵所を流通の拠点に

平田 はる香

平田 はる香さん

 3つめの理由は、物流の拠点を確保できたことです。自宅の店先で始めた事業がここまで急成長するとは思ってはいなかったので、人材の確保とともに困ったのが、物流のための場所の確保でした。オンラインストアの需要が高まっても、仕入れた商品を保管するスペースが限られているため、商品在庫を持てない状況に陥っていました。  自宅がダンボールに占領されていく一方でしたが、2017年についにご縁がありました。近隣で蕎麦の製麺所を営んでいた方が廃業することになり、工場の跡地を貸してくださることになったのです。  すぐにクラウドファンティングを計画して、改装ボランティアを募り、限られた資金の中で倉庫の改修工事を行いました。約150坪の大きな倉庫は、私たちのフラストレーションを一気に解消してくれました。十分な量の商品を管理するスペースが確保でき、作業効率が一気に上がっていったのです。
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ひたすら自分の違和感を明確にしていった
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1976年生まれ。2009年長野県東御市の山の上に趣味であった日用品の収集とパンの製造を掛け合わせた店「わざわざ」を一人で開業する。段々とスタッフが増え2017年に株式会社わざわざ設立した。2019年東御市内に2店舗目となる喫茶/ギャラリー/本屋「問tou」を出店。2020年度で従業員20数名で年商3億3千万円を達成。2023年度に3,4店舗目となるコンビニ型店舗「わざマート」、体験型施設「よき生活研究所」を同市内に出店予定
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山の上のパン屋に人が集まるわけ

健やかに、年商3億円

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