凋落した「メガネスーパー」を救った人物の今。“V字回復の立役者”が辞任に追い込まれるまで
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
今回紹介するのは、メガネスーパーを展開する「株式会社ビジョナリーホールディングス」です。5月25日、都内3店舗で計22件の過大請求が発覚してしまった同社ですが、追加の調査で新たに6店舗7件の過大請求があったことも判明しています。
過大請求の実態と原因究明については現在も調査が進められていますが、経営者の責任が問われるのは間違いないでしょう。過大請求は2016年から行われていました。その当時に代表を務めていたのが、星﨑尚彦氏。メガネスーパーをV字回復に導いた後、今年3月、企業価値毀損の疑いで辞任した過去があります。
1973年に誕生したメガネスーパーは、全国に店舗網を構築し、一時は500店舗を超える巨大なメガネチェーンに成長していました。メガネスーパーのビジネスモデルは、ブランド品を大量に仕入れて販売するというものでした。中・高価格帯がメインの商売です。
しかし、2001年に下北沢でZoffの1号店がオープンし、ユニクロのように生産から販売までを一貫して行う安価な製造小売業がメガネ業界を席捲します。
更に2006年にメガネトップが、眼鏡市場の1号店をオープンしました。眼鏡市場は「フレーム+レンズ一式価格」が最大の特徴。ターゲットは40代からシニア層で、定番かつ堅実なメガネを希望する人。メガネスーパーが得意とする客層と丸被りでした。
眼鏡市場は2万円程度で一流ブランドのメガネをレンズ代込みで購入することができ、お得感の強いものでした。
メガネスーパーも価格競争へと参入しましたが、ビジネスモデルを無視した無理な値下げで業績が悪化。2011年4月期に15億5000万円の純損失を計上し、3億7000万円の債務超過となりました。
経営再建に力を貸したのが、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズでした。2011年12月に第三者割当増資を実施。メガネスーパーは13億3400万円を調達して経営再建に乗り出しました。2013年7月にファンドからの要請で再生請負人として招聘され、社長に就任したのが星﨑尚彦氏でした。
2000年代に続々と強力なライバルが登場
“再生請負人”として招聘された星﨑氏
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ