更新日:2023年06月29日 10:21
ニュース

凋落した「メガネスーパー」を救った人物の今。“V字回復の立役者”が辞任に追い込まれるまで

ビジネスモデルの変革と現場改革でV字回復

 星﨑氏は店舗に赴いて社員の徹底的な意識改革を行ったといいます。1店舗約2時間、1日4~5店舗を巡回して熱血指導する「ホシキャラバン」を立ち上げ、スタッフから参加者を募りました。こうしたエピソードは、星﨑氏自らがメディアのインタビューで頻繁に答えています。V字回復の立役者として、一躍、時の人となりました。  経営戦略の面では、単に眼鏡・コンタクトを販売するにとどまらず、「眼の健康寿命」に配慮した商品・サービスやアドバイスを提供する「アイケア重視のサービス型店舗モデル」への転換を図り、競合との差別化を図りました。
メガネスーパー

メガネスーパー売上高 ※決算短信より筆者作成

 こうした取り組みが見事奏功。2016年4月期は売上高が前期比9.9%増の157億700万円の増収となり、4億2200万円の経常利益(前年同期は9億8800万円の経常損失)を出しました。ここから業績は急速に上向きます。

「不適切な行為」とは…

 華々しい業績回復の裏で、星﨑尚彦氏は不適切な行為が疑われています。ビジョナリーホールディングスが公表した第三者委員会の報告書によると、関係会社への過大な業務委託料の支払いや、税負担を逃れることを目的とした領収書の収集などがそれです。一連の行動は特別背任罪の刑事責任を負う可能性があることにも、第三者委員会は報告書で言及しています。  星﨑氏が行ったことの中でも特に問題視されるのが、メガネスーパーが運営していた店舗を自分自身が関与する会社に譲渡したことです。  その経緯を説明します。
次のページ
株主構成が大きく変化してから業績は低迷…
1
2
3
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ