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横浜家系ラーメン「町田商店」が絶好調。“家系ブーム”が大きな後押しに

コロナ禍でも順調に拡大。理由は立地?

そしてコロナ禍でも拡大を続けました。2019/10期から2022/10期における同社の業績は次の通りです。 【株式会社ギフトホールディングス 2019/10期~2022/10期】 売上高:90.5億円→110億円→135億円→170億円 営業利益:10.1億円→4.6億円→9.4億円→15.7億円 直営店数:89店→122店→150店→171店 PD店数:367店→410店→468店→511店 売上高(直営事業部門):68.6億円→88.2億円→112億円→141億円 売上高(プロデュース事業部門):21.9億円→21.6億円→22.6億円→28.8億円 店舗数は直営店、PD店の両方で伸びていますが、売上高の増加は主に直営店収入によるものです。町田商店を筆頭にギフトHDはロードサイドや住宅街を強みとしており、コロナ禍ではロードサイドの飲食店が好調だったことから立地の影響も考えられますが、ここまで著しく伸びたのは町田商店が消費者に好まれているからと考えてよいのではないでしょうか。

なぜ町田商店は伸びたのか?

以上のように町田商店はギフトHDの成長を牽引しました。それではコロナ禍以前から町田商店系列が伸び続けた理由について考えていきましょう。 考えられる最大の理由は資本系による家系の一般化です。家系は六角家が1994年に新横浜ラーメン博物館に出店したのを機に世に知られるようになり、2000年以降のラーメンブームでも認知度は高まりました。しかし個人経営店が主であるためかコアなファン向けという印象が強く、一般の消費者にはあまり定着していなかったようです。 しかし、2015年以降は町田商店を筆頭に資本系が店舗展開したことで一般層にも知られるようになりました。資本系の店舗は他のラーメンチェーン同様、清潔そうで女性でも入りやすい店舗外観となっています。認知度の高まりとともに家系がメディアで取り上げられるようになり、一般客の間でも家系ブームが起こりました。つまり、資本系自身が巻き起こした家系ブームに乗る形で業績を伸ばしていったと考えられます。 二つ目は経営的な側面ですが、プロデュース店という事業形態が理由としてあげられます。PD店はFC店と同様、出店の際に店舗取得費や内装費がかかりますが、保証金や加盟料を支払う必要がありません。フランチャイジー企業や独立を目指す個人にとって比較的参入障壁が低いことから、店舗数が増えていったと考えられます。 また、先の通りPD店は本部の運営する工場から麺・スープなどを仕入れを通じて本部に売上の一部を支払う仕組みです。個人経営店のように店舗でスープを作る必要がない点は、フランチャイジーにとってメリットといえるでしょう。
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出店の余地はまだある?
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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