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「男が性被害に遭うはずがない」いまだ残る社会の無理解と偏見。男性のレイプ被害の実態を探る

「発達の段階で性的虐待を受けると、性を歪められてしまう」

男の性被害実態

山口修喜氏

 かなりの時間を経てから性被害に遭っていたと気づく男性も多い。心理カウンセラーの山口修喜氏は指摘する。 「12歳で女性から性的被害を受けたというある男性は、17歳頃になって女性に対してイライラするようになり、20歳頃になって、ようやくあれが性暴力だったのだと気づいたと話していました」  また、男性被害者は性的混乱をきたすことがあるという。 「例えば10歳前後の少年がおじさんから性的虐待を受けると、興奮を感じることもあるので、頭では女性とつき合うものだと思っていても、体が男性を求めるというように混乱することがあります。  性というものは本来、自然なかたちで探求していくものですが、発達の段階で性的虐待を受けると、それを歪められてしまうのです」(山口氏)

軽く見てはいけない性的トラウマ

男の性被害実態

※写真はイメージです

  男性の性被害の中でも特に顕在化しにくいのが、LGBTQの被害者だ。前出の岡田氏は、相談する窓口も充実していないと言う。 「行政の相談事業は対象を明示していないことが多く、マイノリティや男性のサバイバー(性暴力を生き抜いた人)は、自分が相談してもいいのか不安に思うのです。  性被害は若い女性が受けるものだと認識している人が多いので、差別が助長されるのではないかと心配するサバイバーもいます。相談機関で性的指向の話ばかり聞かれて、具体的な話ができなかったという声もあった」  性的少数者に限らず、男性被害者にはまだまだ偏見の目がある。こうした誤った見方を「レイプ神話」と言うが、それゆえに男性は、性被害に遭うと大きなショックを受けるのだ。
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男性被害者への社会的偏見「レイプ神話」とは
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