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巨人坂本勇人は“20年に1人の選手”だと思った…母校監督が語る「高校時代の坂本」

今だったら巨人に入っていないかも?

コロナで翻弄された甲子園

『コロナで翻弄された甲子園』(双葉社)

 このときの坂本の本塁打に衝撃を受けた人物がもう1人いた。巨人の大森剛スカウトである。当時は東北地区の担当で、柳田目当てにこの試合を見に来ていたのだが、このときの坂本の本塁打を見て大森のリストに急遽、坂本の名が追加された。このとき坂本はまだ2年生。大森は坂本のこの先の成長を見守ることにした。  翌年のドラフトで、坂本は巨人から1位指名される。この前に巨人は愛工大名電の堂上直倫(現中日)を指名するも、抽選くじで外れ、坂本は外れ1位だった。けれどもその後の結果を見るにつけ、「坂本を獲得して正解だった」という声が圧倒的多数を占める。  仲井監督は当時の坂本のドラフトの結果について、「非常に運がよかった」と見ている。当時のドラフトは、今と違って高校生と大学・社会人とが分離して行っていた。もし今のドラフト制度だったら、果たして巨人に入団できていたのか、という思いがあったからだ。

守備に関しては「まだ伸びしろがある」

 今でも仲井監督は坂本と連絡を取り合っている。母校が甲子園に出場した際には、必ず部員全員にオリジナルのTシャツを作って差し入れをしている。11年春から4季連続で甲子園に出場したときにも差し入れをして、北條史也(現・阪神)や田村龍弘(現・ロッテ)らが「4色違うTシャツが揃った! コンプリートした!」と大喜びしていたほどだ。  一方で仲井監督は、坂本にこんな不満を持っている。「守備はまだまだ物足りない」ことだった。坂本は高校時代、楽に打球を捕ろうとしてイージーミスをすることがあった。それがプロの世界に入っても時折顔をのぞかせるという。 「『そんな細かいこといいでしょう』などと言わずに真摯に守備練習を積んで行けば、まだまだあの子の守備は上達していくだけの伸びしろがあると見ているんです。ここから先は自分をいかに厳しく律して野球と向き合っていくのか、見守っていきたいですね」  仲井監督はそんな期待を教え子にしている。  八戸学院光星は、大会7日目の第1試合で秋田の明桜と対戦する。八戸学院光星の戦いぶりとともに、坂本の今後のさらなる活躍に注目していきたい。 <TEXT/スポーツジャーナリスト 小山宣宏>
スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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