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「3兆円企業」を目指す無印良品。キーワードは“脱・セゾン化”

コロナ禍では巣ごもり需要が追い風に

近年の業績を見ていきましょう。2020/2期から2022/8期の業績は次の通りです(※20/8期は決算期を変更により6か月のみ)。 【株式会社良品計画(2020/2期~2022/8期)】 営業収益:4,387億円→1,794億円→4,537億円→4,962億円 営業利益:364億円→9億円→424億円→328億円 店舗数(国内):437店→438店→497店→493店 店舗数(東アジア):383店→387店→412店→442店 20/8期は半年間しかありませんが、それを考慮しても売上高が著しく落ち込んでいることが分かります。営業利益も激減し、一桁台となってしまいました。 コロナの感染拡大当初にあたる20/8期は休業や外出自粛の影響をもろに受けたようです。しかし21/8期には20/2期を上回る成績となり、22/8期はさらに売り上げが伸びました。 家で過ごす機会が増えたことで収納家具や調理器具、食品に消費者がこだわるようになり、“巣ごもり需要”で客足が増えたためです。確かにアパレル店は客足が遠のいた一方、無印良品は混雑していた印象があります。この間、同様の理由からニトリも増収増益となっています。

国内ではローソンやスーパーと協業を進める

中期経営計画や決算資料から今後の方針をピックアップしてみました。無印良品は各所に見られるため国内では既に出店しきった感もありますが、今後も全国津々浦々への出店を継続するようです。 具体的にはローソン内で無印良品のコーナーを設けるほか、地域の住民が頻繁に集まるスーパーの横に出店する方針を立てています。 ちなみに同社は2019年までファミリーマートと提携しコンビニ店内で無印のコーナーを設置していましたが、売上が伸び悩んだためファミマ側から提携を解消した過去があります。コンビニとの相性は決して良くはないのかもしれません。一方、スーパー横の店舗はふらっと立ち寄ってみたくなる印象があります。
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「強気の目標」は達成できるのか
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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