更新日:2023年08月24日 22:53
お金

Amazonプライムが値上げを発表…それでも「まだ安い」と断言できる理由

赤字を出してでも「先行投資」する姿勢

Amazonはユーザーへのサービス拡充を図る場合、先に自社でそのコストを負担(投資)するケースが圧倒的に多い。 事実、Amazon.comは1997年のNASDAQ上場後も20年以上にわたり、利益のほぼすべてを再投資に回してきた。売上高が右肩上がりで増え続けているにもかかわらず、最終損益は常に「わずかな黒字」か「赤字」のいずれかで推移してきたのだ。 上場後の4年間も赤字を出してでも先行投資してきたスタイルからも伺えるように、Amazonは自社で“先出し”してでもユーザーに便益を提供するカルチャーなのだ。

常に“安く”利用している状態だった

たとえば、Amazon Prime Videoの作品がどんなに充実しても、それを理由に会費が値上げされることはなかったはずだ。 また「Prime Try Before You Buy」は購入前に服を試着できるサービスで、日本では2022年に開始されているが、サービス導入後すぐにAmazonプライムの値上げが発生していない。むしろ、サービスがより定着した後でAmazonプライムの原価に組み込まれるのだ。 この例を一つとっても、Amazonが自社で先行投資し、ユーザーに対して後からコストを負担してもらう構造になっていることがおわかりいただけるだろう。 その点でユーザーは常に“安く”Amazonプライムを利用している状態なのだ。
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アメリカと比べて安いのは「日本ならではの事情」が
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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