更新日:2023年08月24日 22:53
お金

Amazonプライムが値上げを発表…それでも「まだ安い」と断言できる理由

アメリカと比べて安いのは「日本ならではの事情」が

日本のAmazonプライム年会費5,900円は、たとえば米国の139ドル(約20,000円)に比べて安く済んでいる。その理由は大きく三つある。 一点目は、配送コスト。各国で提供されている物流費と、Amazonプライム特典のうち配送特典にかかる原価構造を見ると、実は日本国内のコストは安く済んでいるのだ。国土の狭さや高い人口密度もあり、日本は倉庫から配送先までの距離が世界的にも短い。そのため、配送コストが安く済むのだ。 二点目はサービスの数。実はアメリカなどに比べ、日本で提供されているAmazonプライムのサービスはまだまだ少ない。これはアメリカのAmazonプライムの特典と比較するとわかりやすいだろう。
Amazonプライムの日米の特典の違い

Amazonプライムの日米の特典の違い(株式会社GROOVE調べ)

日本とアメリカのAmazonプライムの特典数を比較すると、日本は13個なのに対し、アメリカは28個と倍以上あるのだ。もちろん、仮に上記の特典がすべて実装された場合、Amazonプライムの会費は日本でも値上げされる可能性がある。 ただし、先述したように日本は物流コストが相対的に安いため、20,000円近い年会費になることはまずないだろう。

アメリカで成功したサービスが他国で導入されていく

三点目が、サービス導入コストが相対的に安い点だ。往々にして、Amazonプライムにおける新たなサービスにかかるコスト負担はアメリカのAmazonが担っている。というのも、Amazonプライムの新サービスは、アメリカが先行開始国となるからだ。アメリカのマーケットでチャレンジし、成功した場合にそのサービスが日本や他国に導入される。 当然ながら、新サービスの導入には研究開発費、マーケティング費が伴う。つまり、このコストはアメリカのAmazonユーザーが負担しているとも言える。 そのため、日本は相対的にコストが安く済み、さらにアメリカのサービスのうち、日本に適応したサービスが後発だからこそ洗練された状態で導入されやすい。 これにより、日本のAmazonユーザーは常にサービスのコストを最後に支払うことになる。その点で「日本のAmazonユーザーはラッキーである」と言ってよいだろう。 そう考えれば、改めて物価上昇や賃金上昇を考えても日本におけるAmazonプライムの会費は「まだまだ安い」と言えることがお分かりいただけたのではないだろうか。 <TEXT/田中謙伍>
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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