日ハム本拠地・エスコンフィールドに漂う“暗雲”。北海道ならではの「避けては通れない課題」が
阪神タイガースの38年ぶりの日本一で幕を閉じた2023年のペナントレース。さて、球界でもう一つ話題になったことといえば、北海道日本ハムファイターズの新たな本拠地エスコンフィールドHOKKAIDO(以下、エスコンフィールド)のオープンだろう。
メジャーリーグを彷彿とさせる選手と観客の距離が近いダイナミックな観客席に加え、試合を見ながら整えるサウナ施設を完備、地元のグルメも堪能できるほか、宿泊施設も備えた新たな北海道の観光地となりつつある。
筆者(田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はメーカー企業のEC戦略を支援する会社を経営しているが、さらに北海道の交通にかかわる地域活性化の事業も進めている。
本稿では、エスコンフィールドが注目される裏側で立ち込める“暗雲”について触れつつ、具体的な対策を考えていきたい。
実はエスコンフィールドのある北広島市周辺は、いま北海道経済が飛躍するための起爆剤となっている地域だ。
エスコンフィールドを中核施設とする北海道ボールパーク内に北海道医療大学のキャンパスが全面移転することが決定。また、お隣の千歳市には5兆円が投じられる予定の世界的半導体メーカーRapidusの工場が進出する。
関西大の宮本勝浩名誉教授(理論経済学)によると、エスコンフィールドの北海道における経済効果は約1634億6174万円に上るとの試算が出ている。
その内訳は、建設費による経済効果が約1062億円、入場料や飲食費、交通費など、観客の消費額が約572億6174万円と見込んでいる。
このように、エスコンフィールドのオープンが契機となり、大きな経済効果が期待できる動きが連鎖的に続いている。
しかし、きっかけであり中心のエスコンフィールドは依然大きな問題を抱えていることをご存知だろうか。それは「アクセスの悪さ」だ。
最寄り駅のJR千歳線北広島駅からスタジアムまで徒歩で25分以上。駅との間のバスもタクシーもピーク時は乗るのに大行列。ペナントレースの時期は雪が降らないと言っても、交通の便が悪いと言わざるを得ない。
エスコンフィールドは試合のない日でもスタジアムを開放し、各種イベントを開催することで野球観戦だけに留まらず、より開かれたコミュニティとしての活用を目指している。にもかかわらず、アクセスが悪いのは、ネガティブな要素であることは間違いない。
エスコンフィールドが大きなポテンシャルを秘めていることに疑いの余地がない。しかし、そのポテンシャルを発揮できずにいるのが現状だ。
“北広島千歳エリア”がアツい。しかし…
まだポテンシャルを発揮できていない
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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