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“快挙を成し遂げた”バスケ日本代表。エース対決は完敗も「ゾーンに入った」22歳が勝利に導く

「ゾーンに入った」河村勇樹が勝利に導く

バスケ ワールドカップ

得意の3Pシュートでチームを救った富永啓生 ©FIBA.com

 3ポイントシュートが決まり始めたことで、フィンランドは前に出て守らざるを得なくなる。そうなると、その裏を突く河村のスピードが生きるようになり、センターのジョシュ・ホーキンソンのゴール下での得点も伸びていく。  バスケでも、どんなシュートも決める状態を「ゾーンに入る」という。富永も3ポイントシュートを連続で決めたが、それ以上に試合終盤にインパクトをもたらしたのが河村だった。富樫勇樹に続く2番手の司令塔、ポイントガードとして出場した河村は終盤になるにつれて調子を上げて、最後は3ポイントシュートも、ドライブからのシュートもアシストパスも、すべてを決めるまさに「ゾーンに入った」活躍だった。

「リードを守り切れるはずだった」フィンランドの誤算

バスケ ワールドカップ

逆転劇で主役となった河村勇樹 ©FIBA.com

 3ポイントシュートも勝負どころで効果的に決まったが、ドライブでゴール下まで切り込み、そのまま反対側に抜けるスピードを生かしたプレーは、フィンランド守備陣を混乱に陥れた。試合後の彼は、「これまでチームに迷惑をかけてばかりだったので、やっと仕事ができました」と謙虚に語ったが、それにしても大きな仕事だった。  結局、日本はホーキンソンが28得点、河村が25得点、富永が17得点を稼ぎ出し、乱打戦となったフィンランド戦を98-88で制した。  この試合でフィンランドは最大18点のリードがあり、日本の3ポイントシュートが決まり始めても、冷静に時間を使っていればリードを守り切れるはずだった。しかし、日本の勢い、観客の声援による後押しで一種異様な雰囲気となったなかで冷静さを保てず、落ちつこうとすれば停滞し、負けずに向かっていこうとすればするほど気合いが空回りしてミスに繋がった。
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オーストラリア戦は2次ラウンド進出を懸けた直接対決
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フリーランスのスポーツコンテンツエディター。Bリーグ創設の2016年に立ち上がった日本最大級のバスケットボール専門メディアの専属ライターおよび編集者として取材を行い、Bリーグ、Wリーグ、日本代表、高校バスケや大学バスケなど幅広くバスケットボールを取材。今もバスケを中心に多くのスポーツコンテンツ制作を手掛ける
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