更新日:2024年08月06日 16:23
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家族がいるから「移住を諦めた」…60代が“自分の人生を生きる”ための方法とは

親や子供に振り回されないことが大事

60歳からはやりたい放題[実践編] 現在の60代は、親もまだ存命で、子供が大人になって一人前になり始める頃だと思います。  家族が多いのは幸せなことかもしれませんが、親と子の間に挟まれて、何かと頼られがちな年代でもあります。  私は高齢者施設で数多くの家族関係を見てきましたが、60代前後になると、親や子供に振り回され、自分の人生を送ることができていない人が多くなってしまいます。  たとえば、定年退職を迎えた夫婦が、以前から夫婦の夢であった田舎への移住を考えたとします。 「どんな家に住もうか」「田舎に行ったら何をしようか」とワクワクと計画を練っていたとしても、親からの「親を見捨てて、遠くへ行くのか。自分の身に何かあったときに近くにいてほしいから、遠くへ行かないでくれ」という言葉や、子供からの「孫の世話を手伝ってほしいから、遠くへ行かないでほしい」という言葉で、計画を諦めることもあります。

介護は自分でやるよりプロに任せた方がよい

60歳からはやりたい放題[実践編] 家族の言葉は、重く受け止め過ぎる必要はありません。大切なのは、自分の意志です。  たしかに血を分けた親や子供の存在は、誰にとっても大切なものでしょう。ただ、親や子供と自分は、あくまで別の人間です。  いかに親の言うことであってもすべてを受け入れる必要はないですし、子供を過度に甘やかしたり、心配したりする必要はありません。  介護にしても、自分で親の介護を行うと、親もわがままを言いやすく、子供に無理な負担を強いるので、家族の間に摩擦が生まれやすいです。  こちらはプロに任せて、自分はたまに様子を見る程度のほうが、家庭内は平和なことも多いです。  ときには、親の面倒を見るために介護離職する人もいますが、自分の体が元気なうちは仕事をして社会とコミュニケーションを取り続ける意識を持ったほうが精神的にはプラスになるので、離職するよりは、こちらも専門家を頼って実際の介護はお任せしたほうが良いと私は思います。
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「孫育て」を頼まれた時、自分の予定があったら?
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1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。 東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、 現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。 高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。 ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)など著書多数。

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前向きで毎日が楽しくなる60の具体策

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