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「マンションの壁が血で染まった」家庭内暴力を受けたアイドルが“傍観する母親”に感じた絶望感

塾の体験授業に行ったら「3時間正座させられた」

 男性の突発的な怒りは、たとえばこんなことで頂点に達する。 「一例ですが、チャーハンを作ってくれた母の彼氏に『味、濃くない?』と聞かれたんです。なので、『濃いけど美味しいよ』と答えました。するといきなり逆上して、食べていたチャーハンに水を掛け、『これで薄まっただろう! さぁ食えよ』と……。  あるいはこんなこともありました。塾で学びたいと思っていた私は、母の彼氏に打ち明けましたが、返事は『塾なんか行かなくても中学生くらいまではなんとかなるよ』という曖昧なもの。そこで私は友達と、塾の体験授業に行ってみることにしました。すると、『貴様は俺から金をむしり取ろうとしているのか!』とすごい剣幕で怒鳴られ、3時間も正座をさせられました

「言葉の暴力」で容姿に自信が持てなくなった

 それだけでも十分な暴力と呼べるが、実際に手をあげられたことも数え切れない。 「ある冬の日に、逆上した母の彼氏に外へ出されて、頭を殴られました。ぱっくりと頭部は切れて、白かったマンションの壁が血で染まったのを覚えています」  男性から刷り込まれていたことが、えんじてゃ氏の性格にも影を落とした部分がある。 「母の彼氏からは、『太っている』『顔がでかい』『頭が悪い』とずっと言われ続けていました。『だからお前は人権がない』というのが、彼の理屈で。だから、自分の容姿にはまったく自信が持てないまま中学生時代を過ごしました。  一方で、性的な虐待も経験しました。『服を脱げ』と言われて、指示通りに衣服を脱ぐ私をずっと母親の彼氏が眺めていたこともあります
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どんな目に遭っていても、母はあくまで傍観者…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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