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「マンションの壁が血で染まった」家庭内暴力を受けたアイドルが“傍観する母親”に感じた絶望感

どんな目に遭っていても、母はあくまで傍観者…

 男性の言動はどれも常軌を逸しているが、より驚愕すべきは、母親だ。 「母はその様子を微笑みながら傍観していました。反抗すれば彼氏が怒るので、ことを荒立てたくないという心理があったのだと思います。一度、私が母に『理不尽だと思う』と話したときは、『経済的に助けてもらっているから、我慢して』という趣旨の返事があったと記憶しています」  母親の徹底した事なかれ主義は、たとえばこんな発言にもみてとれる。 「中学生のころ、あまりにも私が母の彼氏に殴られすぎて追い込まれていたとき、母は物件を探して『あなたが一人暮らしをしなさい』と言ってきました。どうも、私がいなくなれば家庭が丸く収まると考えていたような節があります

凶行の標的が「寵愛されていた妹」に

 だがえんじてゃ氏の不在は、凶行の歯止めにはならなかった。 「一人暮らしこそしませんでしたが、高校に入学してからは、バイトや生徒会の活動で家を空けることが多くなりました。すると、標的は妹になったのです。  妹は私に比べて何でも覚えるのに時間がかかり、反面、甘え上手で、母も明らかに可愛がっていました。その妹が殴られるのは、母も我慢がならなかったようです
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母に「手のひら返し」された結果…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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