「マンションの壁が血で染まった」家庭内暴力を受けたアイドルが“傍観する母親”に感じた絶望感
―[家族に蝕まれる!]―
“世界に違和感を覚える人と共に生きるコミュニティを目指す完全セルフプロデュースアイドルグループ”――地下アイドル『アイドル失格』の公式X(旧Twitter)のプロフィールに書かれた言葉だ。
若さや可憐さを武器にするアイドルのイメージと一線を画し、世の中に媚びない強い意志さえ感じられる。
表現者なら誰しもその裡に耐えがたい葛藤を抱えているが、華々しくステージを舞う蝶たちが見た「違和感」の景色とはどのようなものか。その生き様に迫る。
「実の父親はヤクザです」
そう話すのは、アイドルグループ『アイドル失格』の生みの親・えんじてゃ氏だ。同氏はプロデューサー兼リーダーとして辣腕を振るう。
「父は、泣いている3歳くらいの私の口に延々とティッシュを詰めて黙らせたり、飼っている猫の鳴き声がうるさいからと冷蔵庫に入れたりと、凶暴な発想の持ち主でした」
淡々と語られるエピソードはどれも顔をしかめずには聞けないものだが、えんじてゃ氏の「ただ、本当に危険なのは、父ではないんですが」の一言ですべてがひっくり返る。
母は“男性からモテる要素を詰め込んだ女性”
母の彼氏と同居するようになるが…
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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