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サッカー日本代表「欧州では快勝」も…アジアでの戦いを“不安”に感じてしまう理由

アジアを勝ち抜くために必要なことは…

 この2試合を振り返るかぎり、課題などなくそのまま質を高めていけばいいように感じる。世界の強豪国と戦っていくうえでは、その評価で問題ない。しかし、11月からはワールカップのアジア2次予選が始まり、年明けの1月にはアジアカップが開催される。そう、これからしばらくは、アジアを勝ち抜くための戦いをしなければならない。  アジアにおける日本の立ち位置は、トップクラスの強豪国だ。よって、ゴール前に引いて守備を固めた相手との戦いが強いられる。いってみれば、ワールカップでの日本が見せたドイツ戦やスペイン戦のような戦い方を、今度は相手が狙ってくることになる。  過去にもそういった戦い方をしてくる相手に日本は苦しめられてきた。アジアを舞台にしたとき、全く別の戦い方をしなければならないのが、近年における日本代表の大きな悩みとなっている。

「トルコ戦の2点目」と「ドイツ戦の4点目」に注目

 具体的にいえば、守備を固めた相手からどうやって得点するかが課題になる。そのヒントはこの2戦のなかにもあった。  ひとつは、トルコ戦の2点目である。相手にボールを奪われたが素早い攻守の切り替えからゴール前で奪い返して、久保建英が素早くシュートまで持ち込み、そのこぼれ球を中村敬斗が押し込んだシーンである。ゴール前に人数を割いて守備を固める相手であっても、最終ライン付近でボールを奪われると守備の秩序は崩壊することが多い。いかなる相手であっても得点チャンスをつくれる方法だ。  もうひとつは、ドイツ戦の4点目である。スローインから久保建英が右サイドの深い位置でボールをキープして、中央で待ち構える田中碧にピンポイントでクロスを合わせたシーンだ。ドイツが前がかりになりプレッシャーが甘くなっていたということを差し引いても、精密なプレーで誰が相手であっても得点が生まれていたことだろう。出し手と受け手でまったくズレのない決定的なパスが通れば、それだけでチャンスをつくり出せるのだ。守備を固めるチームを相手にした場合、スペースも小さくなって難易度は増すのだが、今の日本代表にはそのクオリティーを出せる選手がそろっている。
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アジアカップまで4試合…残り時間は少ない
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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