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関西人はなぜ「食パンの厚切り」を好む?製パン最大手に聞く“西厚東薄”のワケ

業者団体に「厚切りの件」を聞いてみた

 そこで、今度は大手製パン業者による団体、一般社団法人日本パン工業会に電話し、村林さんに取材した。  西厚東薄の歴史や根拠について尋ねてみると、「西厚東薄は一般的に言われていますが、理由は不明なんです。西厚東薄の傾向があって関西の嗜好が形成されたのではなく、関西の嗜好性があって西厚東薄の傾向が生まれたものと考えています」(村林さん)とのこと。  先の枚数別出荷数量のデータに明らかなように関西人は厚めの食パンが好みのようだ。さらに、村林さんによると、厚さによって適した用途も変わってくるという。 「食パンは薄切りにすると歯切れがよくなるので、サンドウィッチなど具材を挟む用途に使われます。一方で、厚切りにすると噛み応えがよくなり、もっちり感が楽しめるので、単体でそのまま食べたり、フレンチトーストやハニートーストのように焼いたりして食べると、よりおいしく食べられます」

市販のパンの幅が関係していた!

食パン

6枚切で作るフルーツサンド(ヤマザキッチンより)

 そして食パンの枚数について、なぜ7枚切りがないのか尋ねると、市販の食パンの幅に理由があるという。 「市販の食パン一袋分の厚さが約12cm(120mm)のものが多く、4、5、6、8で割り切れるので、管理(厚さの設定)がしやすいんですよね。しかし7だと割りにくいため、7枚切りは売られていないのではないかと思われます。どうしても、7枚切が食べたければ、町のパン屋さんに頼むと切ってくれるかもしれませんよ」  また、日本での地域差の理由には直接関係ないものの、別観点で見ると、ある傾向が見えてくると村林さんは語る。 「時代背景や、パンが貴重かどうかで厚さも移り変わっているんですよ。例えば、パンが高級品であった時代や東南アジアのような発展途上国などでは、薄いパンが主流となる印象です。また、構成家族が多い家庭も薄切りパンを購入する割合は高くなります」
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あんぱんやメロンパンにも地域差がある
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医療従事者として都内総合病院に勤務していたが、もともと興味のあったWebライティング業界に思い切って転身。大手メディアと業務委託契約を結び、時事ネタ・取材をメインに記事を執筆。中には450万PVを達成した記事も。ちなみに国内外問わず旅行が趣味で、アメリカ・オーストラリアで生活をした経験もあるバイリンガル。現在、海外移住計画中
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