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ラグビー日本代表、優勝候補との再戦…「39点差」で敗れた試合で苦しんだ“3つのポイント”を改善したい

 ラグビーワールドカップに参戦中の日本代表は、初戦でチリ代表に勝利して暫定1位となっている。17日(日本時間18日午前4時)の次戦は優勝候補の一角といわれるイングランド代表と対戦。前回対戦時は39点差で敗れているが、再戦児も似たようなスコアになるとは限らない。焦点は?
ラグビーワールドカップ チリ戦

「ゲームをコントロールすることに重きを置いた」とチリ戦を振り返った流大副将 ©Kaori Matsumoto

「重圧によるミス散見」もゲームをコントロール

 重圧からか、ミスがあった。改めて、4年に1度のワールドカップは、異空間であると思い知らされたのではないか……。  ラグビー日本代表は、普段しないようなエラーを攻守で重ねていたのだ。9月10日、日本では日が沈んだ夜に、選手らは日差しの強いスタジアム・ド・トゥールーズで大会の初戦に挑んでいた。  初出場となるチリ代表に、力を振り絞った激しいコンタクトを重ねられた。松島幸太朗はキックをキャッチするや、着地したところへ2人がかりのタックルを浴びせられた。 観客席では、チリ代表を応援するサポーターが会場の雰囲気を作っていた。 「アーレ! アーレ!」  注目の集まる大会では、無形の圧がひと際高まる。特に、それは大会初出場組のパフォーマンスに影響を与えた。  前半だけでチリの2選手にイエローカード(10分間の一時退場処分)が出るなか、後半7分には日本の枢軸たるディラン・ライリーにイエローカードが突きつけられた。ライリーが日本代表デビューを果たしたのは前回大会後の2021年。いまでは攻守の要だが、この日は珍しくタックルをかわされるシーンも散見。明らかに苦しんでいた。

「パニック」にならずに勝ち点5を積み上げた

 その他の選手にも、キックを蹴る方向を誤ったり、パスワークを乱したりするミスが少なくなかった。想定外のトラブルに見舞われた80分間といえるが、スクラムハーフの流大副将は前向きに総括する。 「グラウンドにいる選手はパニックになることなく、自分たちのゲームをコントロールすることに重きを置いていました。ひとつひとつのプレーを積み重ねることにフォーカスしていた。その意味では、ポジティブな試合でした」  流の言うとおり、組織的としてはそれほど「パニック」にならずに42-12で勝った。  チリの連続攻撃は、ほとんどのシーンで余力を持って止めることができた。稲垣啓太、ジャック・コーネルセン、下川甲嗣らのタックルが効いた。  攻めても6トライを決めた。4度ゴールラインを割って得られるボーナスポイントを含め、この試合で勝ち点5を積み上げた。プールDの暫定1位。決勝トーナメントに進める2位以内入りへ、確かな一歩を刻んだ。
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前回のイングランド戦で苦しんだ「3つのポイント」
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1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年にラグビーライターとなり「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」「REAL SPORTS」「THE DIGEST」「Yahoo! ニュース」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。ワールドカップ期間中は現地情報をオンラインで届ける「ラグビー反省会特別編」を実施。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など
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