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ラグビー日本代表、優勝候補との再戦…「39点差」で敗れた試合で苦しんだ“3つのポイント”を改善したい

前回のイングランド戦で苦しんだ「3つのポイント」

 船はこぎ出しばかりだ。17日の第2戦では、さらなる難敵に挑む。スタッド・ド・ニースで対峙するのは、前回大会を準優勝で終えた強豪のイングランド代表だ。  昨秋の対戦時は13-52で敗戦。おもに苦しんだ3つのポイントがある。  1つは接点。ボールを持って突っ込もうとした日本代表の選手が、勢いよく飛び出すイングランド代表のタックラーに仰向けにされたり、その場にせき止められたりして、攻めのリズムが断ち切られていた。イングランド代表は、防御の出足の鋭さで知られる。  もう1つはハイボールの処理。高く蹴り上げられたボールの取り合いでは、ことごとくイングランド代表に球が入って攻撃時間を与えてしまった。日本代表も跳びあがって取ろうとした。しかし、イングランド代表はおもな捕球役となるウイング、フルバックに身長190センチ前後の長身選手を配していた。  昨秋の対戦では国内にあっては大柄な身長187センチのシオサイア・フィフィタがウイングを務めた。途中から出場し、イングランド代表との空中戦に苦しんだと述懐した。 「(長身の相手が空中で)ボールをはたいてくる」  ラグビーでは前に球を投げたり、落としたりすると反則になるが、後ろに「はたく」のなら反則にはならずプレーは続く。イングランド代表は自分たちの高さを生かして、まずは日本代表にボールを捕らせないことを優先した。そして、後ろにこぼれたボールを別の選手が確保し、その後の攻撃につなげたのだ。

「巧妙な駆け引き」によって崩されてしまった

ラグビーワールドカップ チリ戦

イングランド戦でポイントの1つとなるスクラム ©Kaori Matsumoto

 3つ目はスクラム。レフリーの合図のもと、両軍の選手が8対8で組む攻防の起点だ。前にボールを投げられないラグビーでは、組み合う真下にボールが転がるスクラムを押すか、押されるかで、しばしば流れが左右される。  前回対戦時も、特に前半はスクラムで立て続けに苦しんでいた。小兵力士の要領で近い間合いで組みたい日本代表に対し、イングランド代表は巧妙な駆け引きのもと間合いを取った。自慢のパワーをぶつけて日本代表を崩したのだ。その結果、日本は故意に塊を壊す「コラプシング」という反則を取られた。
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「タフな鍛錬の成果」が問われるイングランド戦
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1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年にラグビーライターとなり「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」「REAL SPORTS」「THE DIGEST」「Yahoo! ニュース」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。ワールドカップ期間中は現地情報をオンラインで届ける「ラグビー反省会特別編」を実施。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など
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