――その後、人生最大の転機が訪れます。 クック井上：当時、ブログで「ビストロイノ」と題して料理レシピをアップしていたのですが「“クック井上”の方が語呂良くないですか？」とタイムマシーン3号の山本が助言してくれました。イジられていると思って喧嘩になったんですが（笑）。 そんなタイミングで『「ぷっ」すま』（テレビ朝日）で「芸能界お抱えシェフ-1グランプリ」という、料理自慢の芸人NO.1を決める企画がスタート。番組が「料理が上手い芸人」を探しているなか、よく家にご飯を食べに来ていた流れ星のちゅうえいが「ツインクルの井上君のお料理が美味い！」とスタッフさんに推薦してくれたんです。 番組の企画では大根1本を硬い部分と柔らかい部分、上中下と細かく分けて使って、前菜からデザートまで「大根のフルコース」を披露したら、優勝することができました。草彅さんやユースケ・サンタマリアさんからは「ブログだけじゃなく、もう本当に芸名を“クック井上”にしちゃいなよ。芸人やめて料理人になった方がいい！」と（笑）。その頃から「もうこっちだな！」と本格的に「料理芸人・クック井上」を名乗る事にしました。 ――明確な武器を手に入れたことで、大きな変化ありましたか？ クック井上：企業とのコラボだったり、料理イベントの司会、農林水産省やJAからの仕事など、これまでなかった仕事が増えました。もちろん、芸人としてこういう未来を想像してなかったですよ。昔はとても尖ってて、誰の助言も聞かないし、自分だけが正しいしと思ってました。でも、結婚して子供ができて、初めて、「自分に求められるもの、評価していただけるもの、何でもやります！！」と言えるようになったのが大きかったかもしれません。美味しいお料理は人を笑顔にします。誰かを笑顔にするという点でゴールは同じなんだと思えるようになりました。 ――最後に、今回出した本の見どころを教えてください。 クック井上：僕がお料理を好きになったのは幼い頃の記憶が大きかったと思います。一番覚えてるのは、母親と一緒にやった餃子作り。母親が材料を細かく刻んで、そのあとは僕も母で皮にタネを包む。その作業が大好きでした。そして、自分の作った餃子が食卓にのぼり、「よっくんの作った餃子はおいしいわ」って家族が褒めてくれた、それが本当に嬉しくて成功体験になって、お料理がどんどん好きになったんです。 この『魔法の万能調味料　料理酒オイル』は「料理が苦手だと思っている方」に届いたらいいなと思っています。僕、飲食店のカウンターに座ってシェフの方々がお料理する姿を見るのが小さい頃から大好きだったのですが、プロは酒と油を効果的に入れて、鍋やフライパンの中で混ぜている事に気づいたんです。そこで“先に混ぜておいたら、お料理が苦手な方でも使いやすいんじゃないか？”と気付いて、やってみたら本当に凄かった。料理酒と油を4：1で混ぜたオイルを上手に使えば、お料理がプロ級になります。 「シナシナな野菜炒め→シャキシャキ」「パサパサなハンバーグ→ジューシー」「硬くなりがちな唐揚げ→しっとり」などなど、家庭料理では諦めていた感覚の部分が格段にレベルアップします。プロは強い火力と充実した機材、そしてテクニックでおいしい料理を作るけど、家庭だってこれさえ使えば、お店のような味に簡単にできるんです。「料理酒オイル」で日々のお料理をもっと気楽に楽しんでいただきたいと思っています。 ＜取材・文／キンマサタカ＞