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「つるとんたん」の本当に旨いを30年追求した味。ワンランク上の“おうどん”を食す

―[S級グルメ]―
うどんといえば“庶民の味”の代表格。だが、そんな思い込みを一新させたのが、全国に13店舗を展開する専門店「つるとんたん」だ。讃岐うどんの製法と関西の出汁文化を融合させた、ワンランク上の“おうどん”。そのおいしさに迫る。
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「つるとんたんの大判きつねのおうどん」

出汁、麺、具材……本当に旨いを30年追求した味。つるとんたん自慢のご馳走うどんを食す

 男にはうどんが食べたくなる瞬間がある。朝から面倒なメールの返信や、気疲れするリモート会議が相次いだ日は特にそう思う。昼が近づいてくると、あの白くて美しい肌が恋しくなる。出汁のかつお節の香りと、口に入れた瞬間のつゆの旨味、つるっとした喉越し。そのすべてが愛しい。  いつから東京でおいしいうどんが食べられるようになったか記憶をたどったところ、意外と最近であることに驚いた。その嚆矢となった「つるとんたん」は、’89年に大阪で生まれ、’05年に東京進出した。味はもちろん、高級感あふれる店内の様子と、朝4時まで営業するというスタイルも話題になった。東京上陸から15年がたったが、いまだにその人気は衰えない。  繁盛の秘密はその「満足度」に尽きるだろう。つるとんたんの「おうどん」は、とにかく旨い。自家製麺のうどんは、打ちたて、茹でたての出来たてを提供する。コシのある麺と、香り豊かなつゆ。当初は強気の価格設定かと思ったが、3玉分まで無料で増量できるので、コストに比した満足度は高く、足繁く通うファンも多い。  つるとんたんといえば、庶民の味であったうどんを、一品料理にまで昇華させた立役者だ。「安くてそこそこ旨い」手軽なファストフードであったうどんを、初代店主の出身地であった讃岐のうどん製法と、出汁の文化が色濃く根づいていた大阪のつゆと融合させることでチューンアップさせた。会席コースも用意するなど、「デートや接待の締めにうどん」という光景を定着させた功績は大きい。  定番の「大判きつねのおうどん」は四角の薄揚げがのったおなじみのビジュアルだが、甘辛く煮たきつねの旨味が、つゆとしっかりなじんでいるのがうれしい。ひと口すすると、出汁の香りに溶け込んだ薄揚げの甘さがじんわり胃の腑に染み渡る。  うどんを勢いよくすすると、空気を含むことでかつお出汁の風味が口いっぱいに広がる。程よい弾力の麺を噛み締めれば、小麦粉の甘さがやってくる。うどんは旨いとしみじみと思う。  つゆに使われるのは、かつお、うるめ、さば節など5種類をブレンドした出汁。甘めのかえしを合わせたつゆは、麺に負けない力強さがあるから、つゆとうどん、レイヤーの違った甘さが口の中で一体になって、多幸感をもたらす。ああ、旨い。ランチタイムはちょっと贅沢して、このつゆといなり寿司を合わせたい。

個性的な器が目を引く「明太子のおうどん」

「明太子のおうどん」で目を引くのは個性的な器だ。横綱の賜杯かと見紛うほどの大きな皿は美濃焼で、抜群の存在感を示している。  器は、見た目のインパクトだけでなく機能性にも優れている。保温性が高く、冷やした器でうどんがのびず、最後まで楽しめる。
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「つるとんたんの明太子のおうどん」

 さて、肝心の明太子のおうどんの味だが、一本60cmもあるうどんをあらかじめ明太子としっかりとあえてあるので、味ムラがなく、どこをどう食べても明太子の風味が楽しめる。お好みで追加トッピングすれば、具材と上にのった明太子のハーモニーが楽しめ、それで軽く一杯といった大人の楽しみ方も。陶器に入った冷たいうどんを目で楽しみながら、ゆっくり盃を傾けるひとり晩酌も悪くない。
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海外のつるとんたんから逆輸入した「ロール寿司」
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