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chocoZAP“1年で会員数83万人超”のウラにあったもの「エステ導入がひとつの転機に」

チラシは500種類以上のパターンを用意

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チラシによる検証

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2023年8月時点のチラシ

 そして、2022年11月に「日経トレンディ2023年ヒット予測100」で総合1位を獲得したのを契機に、TVなどのメディアへの露出が増え、認知度が上がっていったそうだ。 「『コンビニジム』として取り上げていただき、大きな反響が生まれたことで、出店の引き合いも徐々に増えていきました。出店におけるルールや判断基準については“立地”と“視認性”を重視しています。階段やエレベーターを上がる空中階の物件は、どんな人がトレーニングしているのかというのが見えづらいため、30~40坪規模の路面店で営業できる物件を中心に出店を行っています。また、ガラス張りで中の様子を把握しやすくすることで、初心者や女性の方でも気兼ねなく安心してジムに入れる工夫も凝らしていますね」  現在では全国から出店依頼が後を絶たず、毎月100店舗ペースで規模を拡大している。まさに他に類を見ない躍進ぶりだが、加えてchocoZAPを支えるのがマーケティング戦略だ。ポスティングや街頭でのチラシ配り、交通広告や屋外広告、さらにはチラシは500種類以上のパターンを用意し、バナー広告は4000種類もの検証を重ね、ものすごい労力をかけてマーケティングを“科学”してきた。 「いろんなPDCAを怠ると、すぐに飽きられてしまう。社長の瀬戸(健)自身も、そのような経験をしてきたことから、新規事業のchocoZAPに関しては、本気でフィットネス業界の常識を覆す事業を作るべく、徹底的なPDCAで効果検証していくことを意識してきました」

思いついたアイデアは全て試す

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視認性を意識したchocoZAPの店舗外観

 マーケティング戦略を立てるなかで、事業を伸ばす鍵になるのは「チラシのポスティング」だと捉えていたという。立ち上げ当初は役員自らポストへチラシを投函するなど、チラシの重要性を感じていたからこそ、そのデザインにも相当のこだわりを持っていた。 「カラーやテキスト、サイズ以外にも脱毛だけ訴求したり、RIZAPの文字を入れたり入れなかったり。訴求軸や切り口など、ありとあらゆるパターンを試し、効果的な勝ちパターンを探っていきました。  心がけたのは『アイデアの発散をしたら、全部やってみる』こと。正直、どんなにクリエイティブを考えても、お客様がどういう反応を示すかは不明で、正解があるわけではありません。答えのないものだからこそ、『お客様に聞いてみる』ことが大事だと考え、思いついたアイデアは全て試したんです」
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ライザップらしい“お節介さ”のアプリ体験
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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