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「火災報知器が鳴り響き、悲鳴が…」デパートの仏具売り場で起こった客の仰天行為

木魚とお鈴の大合奏がはじまっていた

 そのうち、仏具フロアに木魚やお鈴の音が鳴り響くようになったといいます。 「かなり接客に集中していたのですが、ふと客との会話が途切れた時に、入り口付近から相当な音量で木魚とお鈴の大合奏が始まっていたんです。まるで、幼稚園の生徒が無茶苦茶に楽器を奏でているような感じのひどいひびきです」  それから数分後、信じられない事態が発生します。 「仏壇のお客さんにはなるべく早くクロージングしようと巻きで商品説明していたら、なにやらその老人のいる方向から線香の香りが漂ってきたんです。さすがの私も接客をいったん断り、その老人のほうに向かおうと思った瞬間、さっきの10倍くらいの煙が一斉に上がりだしたんです。隣の売り場からは悲鳴が聞こえるし、火災報知器も鳴り出すし、あたりは一瞬にしてパニック状態になりました」  小林さんは、その時フロアにいた他の年配客の手を引いて非常階段の方へ誘導したそうです。定期的に行われていた避難訓練のおかげで、特に怪我や混乱もなく安全な場所へ避難させることができたといいます。

あきれた老人の言い訳と通報

老人

写真はイメージです

 幸い館内の煙はしばらくしておさまり、フロア内にも落ち着きが戻ってきたとき、小林さんは近くにいた老人に事情を確認するために話しかけたといいます。 「その老人、ボヤのあたりから少し離れた場所で、腕を組み、何食わぬ顔をしてわれわれのドタバタをずっと静観していたんですよ。ここまで大事になったので、老人にご家族の連絡先を聞こうとしたら『教えません。私は接客されなかったから自分で商品を確かめただけだ』と答えたんです。もう時間の無駄だと思いました」  小林さんはこれ以上会話しても進展がないと判断し、店長の許可を得て警察にやむなく通報することにしたそう。 「再度店長とも話し合ったんですが、今回は被害届を出さずに、警察に自宅まで届けてもらうようにだけお願いしたんです。いろんな意味で勉強になりました。以前の売り場ではこんな類の問題はありませんでしたしね」  新天地でいきなりの洗礼を受けた小林さん。今回のことを教訓にして危機感を持ってお店に立ちたいと言っていました。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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