更新日:2023年10月06日 17:38
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東映・東宝・松竹…“アニメ頼み”の映画業界で一人負けは?ヒット作は数あれど

世代を超えて愛されるIPを育てられるか

 スラムダンクが連載されていたのは1990年代。コミックを楽しんでいた世代は、子供たちと映画館へ足を運ぶ年齢となりました。『THE FIRST SLAM DUNK』は、次の世代へと繋ぐ布石となる可能性があるのです。  東映が中期的に成長するポイントの一つは、エバーグリーンマーケティング戦略を通して、スラムダンクのような成功に再現性を持たせられるかどうかです。その種まきを始めています。  その一つが『オトナプリキュア』。10月7日に放送を開始するアニメーションで、プリキュアのかつての主人公が成長した姿を描くもの。子供時代にプリキュアに親しんだ10代後半から20代前半をターゲットとしています。正に世代を超えた作品に位置付けられるもので、興味深い取り組みだと言えます。  東宝は新規IPの創出や、既存のIPの収益力を高める仕組みづくりに邁進しています。

小回りを利かせ始めた東宝の実力

 迎え撃つ東宝は、2022年にアニメ本部を新設しました。独立した部署となったことで、円滑な意思決定やアニメーションの制作予算を獲得しやすくなったのは間違いないでしょう。  東宝は2023年2月17日にジャズがテーマのアニメ映画『BLUE GIANT』で、異例のヒットを飛ばします。興行収入は10億円を超えました。この映画の制作進行に組織再編の影響がどれだけあったのかは分かりません。しかし、決してメジャーとは言えないジャンルの音楽映画かつ知る人ぞ知るコミックの映画化がヒットしたことは、東宝が組織再編で好調な滑り出しをアピールするには十分でした。  今年、最も興味深かった東宝の映画が『SAND LAND』。8月18日に公開しました。東映のドル箱ドラゴンボールの鳥山明氏による連載漫画で、根強いファンが多い作品として知られています。  映画の内容そのものに対する評価は高かったものの、プロモーションが上手くいかなかったからか、興行的には失敗に終わりました。興行収入は5億円程度と見られています。
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その一方で松竹は…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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