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ハマスの「パレスチナ人を守る」は嘘だといえる理由。女性・子供を利用する“ヤバい思想”とは

ハマスによるパレスチナ人への「口封じ」

中東問題再考

※画像はイメージです

 ガザ地区のパレスチナ人は、このようなかたちでハマスに利用されているだけではありません。  ハマスはハマスに批判的な人を暴力的に弾圧したり、恣意的に逮捕したり、拷問したりすることにより、口封じをしています。  2019年3月にはガザで、ハマスが2007年にガザを実効支配して以来、最大規模となる抗議デモが発生しました。  人々はハマスが経済対策を一切せず、モノやサービスに過剰な税金をかけていることに抗議し、口々に「我々は生きたい!」「我々は尊厳ある生活をしたい!」「ハマスの指導者の息子たちと同じように、贅沢でお金や車に囲まれた生活をしたい!」と叫んだりプラカードを掲げたりしましたが、ハマスの治安部隊は参加者を警棒で殴りつけたり実弾を発射したりして暴力的に弾圧しました。  パレスチナの法定監視機関である独立人権委員会(ICHR)は、デモ参加者1000人以上がハマスに拘束されたとしています。  ガザでは、ハマスに対して平和的な手段で抗議することも許されないのです。

ハマスによる「身体に苦痛を与える虐待」の実情

中東問題再考

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 ハマスの治安部隊員は被拘留者を小部屋に閉じ込め、そこで何時間も、あるいは何日間も、ほとんど休憩なしで強制的にしゃがませたり、腕を上や後ろに強く引っ張って縛りつけたり、小さな子供用の椅子に立ったり座ったりを繰り返させたりするという、身体に苦痛を与える虐待を行っていることで知られています。  この虐待を受けたある人物はヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)に対し、腎臓と背骨に激しい痛みを感じ、首が折れたり、体の中が引き裂かれたりするような感覚に襲われたと証言しています。  また別の人物は、ハマスの治安部隊員にケーブルで手を天井に、足を窓に取り付けられて吊るされたままの状態で、足や体をケーブルで何度も叩かれながら、「喋らなければここで死ぬぞ」と言われ自白を強要されたと語っています。  HRWが確認した医療報告書や写真によると、この人物はたった1日の拘留にもかかわらず、5日間病院で意識を失い、吐血したり、腎不全、主要血管の閉塞などの治療を受けたりしました。  ICHRは、2018年と2019年の最初の3か月間に、ハマスから「拷問と虐待」を受けたという報告を213件受けたとしています。  ハマスはパレスチナ人を守る、パレスチナを解放すると言いながら、ハマスに異議を唱えるパレスチナ人を暴力的に弾圧し、独裁を強めているのです。 <飯山陽 構成/日刊SPA!編集部>
1976(昭和51)年東京生まれ。イスラム思想研究者。麗澤大学国際問題研究センター客員教授。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学専門分野博士課程単位取得退学。博士(文学)。『ニューズウィーク日本版』、産経新聞などで連載中。著書に『中東問題再考』『イスラム教再考』(以上扶桑社新書)、『エジプトの空の下』(晶文社)など。
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中東問題再考

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