ハマスの「パレスチナ人を守る」は嘘だといえる理由。女性・子供を利用する“ヤバい思想”とは
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム過激派テロ組織「ハマス」が突如イスラエルを攻撃。軍事衝突が激しさを増すなかで、双方の死者は2800人を超えた(13日時点)。
女性が裸体のまま拉致されるなど襲撃を受けたイスラエルの音楽フェスで起きたハマスの蛮行。
イスラム思想研究者の飯山陽氏は、ハマスの残虐行為はガザ地区に住むパレスチナ人に対しても行われていると言う。
ハマスは子供を含む民間人を人間の盾として利用していることを、隠しも否定もしていません。それどころかむしろ、これを正しい戦略として正当化しています。
2018年5月、ガザとイスラエルの国境線でパレスチナ難民の帰還を求める「帰還の行進」を行っていたパレスチナ人数万人が暴徒化し、イスラエル軍が発砲、パレスチナ当局によると55人が死亡し約2700人が負傷するという事態が発生しました。
ハマスのガザ指導者であるヤヒヤー・シンワールはアルジャジーラTVに出演し、この行進について、「国際的な意識の中に帰還の権利を取り戻し、パレスチナの民族的問題を世界の議題に戻す」ことが目的だと述べ、次のように続けました。
「これらの行進に乗り出すことを決めた時、我々にとって最も大切なもの、つまり我々の女や子供たちの体を、アラブの現実の崩壊を阻むダムに変えることを決めたのだ。
多くのアラブ人が、我々のエルサレムを占領し、我々の土地を略奪し、我々の聖地を汚し、昼夜を問わず我々の人々を抑圧する略奪者との関係の正常化に向けて競争することを阻むダムである」
シンワールは、イスラエルとアラブ諸国の関係正常化を阻むために、「女や子供たちの体」を利用したことを認めているのです。
女や子供までもが一丸となってパレスチナ解放のために命を投げ出し「抵抗」している様子を見せつけることで、世界中の人々の同情を引き、パレスチナ人はかわいそうだ、イスラエルは卑劣な悪だと思わせようとしているのです。
ハマスの女性部門の指導者であるラジャー・ハラビーは2021年12月、ハマスの運営するアクサーTVに出演し、立派にジハードを敢行した女性の例として、2004年に自爆テロを実行して子供を残して死んだリーム・リヤシーなどの名を挙げ、
「ガザのすべての女性たちは殉教作戦を行うように頼まれたら拒否することはないでしょう」
「ハマスの女性たちは神のために殉教することを望んでいます。もし女性たちがカッサーム旅団に参加することが許されたら、その数は男性たちより少なくはないでしょう」と述べました。
ハマスというのはこのように男だけでなく女にも、子供にも、ジハードの名の下にテロを実行して殉教すること、つまり死ぬことを美徳として強いているのです。
<本記事は飯山陽著『中東問題再考』(育鵬社刊)の一部を抜粋・再構成したものです。※肩書は当時のもの>
女性も子供も「人間の盾」として利用
ハマスの美徳とは「ジハードの名の下にテロを実行して死ぬこと」
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1976(昭和51)年東京生まれ。イスラム思想研究者。麗澤大学国際問題研究センター客員教授。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学専門分野博士課程単位取得退学。博士(文学)。『ニューズウィーク日本版』、産経新聞などで連載中。著書に『中東問題再考』『イスラム教再考』(以上扶桑社新書)、『エジプトの空の下』(晶文社)など。
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『中東問題再考』 本当の中東の姿を示す |
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