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プロが選択した「高配当銘柄」11選。新規上場した“アクティブ型投信”の組み入れ銘柄に注目

世界情勢が与える金融市場への影響

 10月に入り東京株式市場はアップダウンを繰り返している。下落するときには、日経平均は600~700円下げ、また戻す。それでも今のところ3万円は割らないし、3万2000円を大きく超えて上がっていく推進力も欠如しているようだ。  その東京市場に影響を与えている米国市場では、インフレ懸念と金利引き上げの綱引きが続いている。また、市場は予期せぬリスクに敏感になっている。  10月に入りウクライナだけでなく、パレスチナのガザ地区での戦闘によっても、原油価格が激しく上下し、それによって鈍化してきたインフレの先行きにまた不透明感が出てきてしまった。地政学的リスクが物価に影響を与え、それが金利に、そして株価にも影響する。  原油価格はパレスチナ情勢の悪化で大きく上昇したが、世界最大の石油産出国、サウジアラビアなどの産出国の生産調整によっても価格は大きく変わるもの。  夏の終わりには、年内に0.25%の金利引き上げはあっても、それで打ち止めで来年の中頃からは金利は下がるという見方でほぼ一致していたマーケットのコンセンサスが崩れつつある。

今の円安はドル高要因で起きている

 来年は大統領選挙を控えるアメリカにとって、景気の腰折れからの深刻な不況が起きること、それに伴う株価低迷が長期化すること、そして、国民が許容できないインフレもバイデン民主党政権は避けなければならない。景気とインフレ、それに伴う金利動向、ウクライナ、パレスチナでの戦争と大統領選挙という政治関連などが複雑に絡み合っているのだ。  最近のドル円相場は、日本時間はほぼ海外市場での流れを受け継いで取引をしている。大きく動くのはほぼアメリカ時間だ。これは今の円安がドル高要因で起きていることを証明している。アメリカ時間に米国金利が強まる材料が出るとドル高/円安方向に動くのだ。日本時間には、日銀の介入などにも警戒感があるからか、あまり動かない。  欧米各国は、インフレに対峙するためにこの1年以上継続的に政策金利を引き上げ、アメリカなどは、今後いつ金融緩和に転じるのかが投資家の関心の中心だが、日本ではアベノミクスを引き継いだ植田日銀総裁が政策金利の引き上げに頑なに慎重だ。
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「日本のインフレは低い」の間違い
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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