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プロが選択した「高配当銘柄」11選。新規上場した“アクティブ型投信”の組み入れ銘柄に注目

「日本のインフレは低い」の間違い

日本銀行本店 こういうと、日本のインフレは欧米に比べて低いのだから当たり前だという人もいるが、それは間違っている。今や米国と比べた場合でも、日本の消費者物価の上昇率は決して低くない。日本の3%台の上昇率で留まってるいるように見えるが、実は政府のガソリンや電気ガス代などを低く抑えるための補助金で実現しているのであって、それがなければ、4%台になっているというのが識者の見解だ。さらに、毎日の生活に欠かせない食料品だけに限ってみると9%を超える上昇率となっている。  デフレ経済の渦中に始まった異次元の金融緩和時に目指したインフレ率は2%台だ。だから物価水準だけでいうと、日銀も欧米同様に物価を抑えるために金利に手をつけていい水準である。  植田総裁は、異次元の金融緩和を継続する理由として、持続的な賃金の上昇が伴っていないことを理由にあげる。持続的とはどういうことか。何を元に判断するのか? それを推察すると、今年の春闘並みの民間企業の賃金上昇が来年も実現できれば『賃金の持続的な上昇』と判断され、金融政策の舵を大きく切るのではないかと思われる。

中国に流れた投資資金が日本へ

 株価の先行きに不安な要因がもう一つある。それは、中国だ。  ポストコロナの環境になっても中国では消費が伸びない。恒大グループなど、大手不動産産業の経営不振の重石が下へ下へと景気を引き下げる。  上海の株式市場も10月上旬に年初来安値をつけたのだ。  今は中国に流れていたアジア向けの外国資本の投資資金が、再び日本市場を注目している。しかし、世界的な調整局面に突入するようなことがあれば、それらも株式市場から高金利の債券などの市場に向かうだろう。  こうして世界中が経済の先行きが不透明なまま年末に向かっている。前述したように日本の株価は非常に神経質な上下を繰り返している。半導体や金融、商社などが牽引した今年の株式市場の中で、夏ごろからにわかに注目されたのが、インカムゲイン狙いの高配当銘柄だ。  特に景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄で、日経平均やTOPIXなどが動いた時にも比較的株価が安定する傾向がある高配当銘柄への注目が集まっている。
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9月に上場した6本のアクティブファンド
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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