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新任の塾講師、実はライバル塾のスパイ?問い詰めた経営者に放った“ふてぶてしい”捨て台詞

ライバル塾で張り込みをした結果

 気になった吉田さんは、Aくんがシフトに入っていない日に、生徒が教えてくれたそのライバル塾へ偵察に行ったといいます。 「少し離れていたところからライバル塾の入り口を見ていたのですが、なんと、しばらくしてからAくんが何食わぬ顔をして入って行ったんです。しばらくその場を離れずにずっと観察していたのですが、小一時間たっても出てくる様子がなかったので、スマホから父兄のふりをしてその塾に電話を入れました。そしたらなんと『ただいまAは授業中でして……』と言われました」  吉田さんの嫌な予感は的中していたようで、どうやらAくんは今もそのライバル塾に籍をおいていたそうです。 「直感で『彼はスパイ』だと確信しました。同時に、何らかの情報が先方に渡っていないかどうか、急に心配になってきました」

単なる掛け持ちバイトという認識

塾講師

※画像はイメージです

 吉田さんは、Aくんの出勤日に彼を塾長室に呼び、ヒアリングをしたといいます。 「入室早々Aくんは何かを察していたようで、僕が張り込みの一部始終を話し終えると、彼は、少し考えてからあっさりと退職する意思を伝えました。ただ、その際に『吉田さん、僕はやましいことなどありませんよ。マクドナルドでアルバイトしている人が、たまたま時間に余裕があるからケンタッキーのアルバイトを追加したという感じです』と、淡々と語ったAくんは、そのまま退室していきました。僕は、彼の言葉を耳にして、正直とても複雑な気持ちになりました」  吉田さんは、自身の雇用に対する考え方の甘さを実感し、外部の労務士などの協力を得ながら従業員の管理について対策を講じたといいます。 「幸いなことに、今回は実害は今の所確認されていなかったのが、不幸中の幸いでした。教育方針や、授業のノウハウなどに加え、生徒たちの個人情報が漏えいする可能性もあったかと思うと、正直ゾッとしました。ただ、今思えば、Aくんは単純に掛け持ちしていただけなのかもしれませんけどね。ちょっと惜しい気持ちはありますけど」 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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