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「障がい者雇用のしわ寄せを受けて…」新卒2年目社員の嘆きを人事のプロはどう見る

 職場に障がいのある社員がいる。懸命に仕事をしているのだろうが、周囲からはそうは見られない場合がある。上司や同僚は、怠慢と捉える時すらあるかもしれない。そのしわ寄せが、最も若い健常者の社員に行くことがある。あなたが、その社員ならばどうするか――
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※画像はイメージです(以下同じ)

 今回は実際に起きた事例をもとに、職場で起きた問題への対処法について考えたい。本記事の前半で具体的な事例を、後半で人事の専門家の解決策を掲載する。事例は筆者が取材し、特定できないように加工したものであることをあらかじめ断っておきたい。

事例:入社した会社を辞めようか悩んでいる

 2年前に新卒で入社した小売店(正社員数700人)を「辞めるか否か、悩んでいる」という石井智成さん(仮名・25歳)。配属は都内近郊の店で、正社員が6人、パート社員が25人。正社員の内訳は、店長、副店長、リーダー1人、一般職3人=石井さんと身体障がい者1人、フィリピン国籍が1人。一般職の3人は、主に次のことをする。 ・1階から4階まで全階の顧客対応や清掃、商品陳列や陳列計画作成 ・運送会社からの商品受け取り対応やその記録 ・本社への商品の発注連絡 ・パート社員へのサポート

担当外の仕事のしわ寄せがひどい

 石井さんは、正社員のうちの1人。本来、自分がするべきではない仕事のしわ寄せがひどい。障がい者の社員は、1日6時間勤務(本来、正社員は8時間)。実際には2時間ほど、商品の陳列をする程度。残りの4時間はバックオフィスで、スマホを見たり、テレビを眺め、時折寝る。そのことを誰もとがめない。  障がい者の社員が、4時間でするべき仕事を石井さんが毎日する。上司(店長や副店長)の指示だ。会社は「障がい者雇用推進企業」として自治体から賞を受けたこともある。上司らは障がい者の社員に配慮し、強くは言わない。  しわ寄せは、正社員のいちばん年齢の若い石井さんにますます押し寄せる。上司は「若い時の経験は必ず生きる」と言い、突き放す。一時期は「熱血青年」などと上司らが称えていた石井さんは今や、バカバカしい思いしかない。
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ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数
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