仕事

「簡易トイレを1日に2億売った」実演販売士が意識する“思わず買いたくなる”対話のコツ

 百貨店や量販店、スーパーにはさまざまな商品があふれかえっている。今ではネットで簡単に情報収集ができ、多くの市場でコモディティ化(商品の機能や品質が拮抗し、差別化しづらくなること)が進んでいる。良い商品を作っても必ず売れる時代ではなく、「どう売るか」や「どう伝えるか」が重要になっていると言えるだろう。  こうしたなか、 軽快な語り口とエンタメ性に富んだ表現で、商品の魅力を訴求していく“実演販売士”という職業がある。業界大手のコパ・コーポレーションに所属する“GOLD榮倉”さんもその一人だ。
実演販売士

実演販売士として活躍するGOLD榮倉(榮倉サヤ)さん

 数年前から実演販売士として活動を始め、現在では“1日に2億売った女販売士”と言われるほど、実績には定評がある。実演販売士になった経緯や、消費者を惹きつけるために工夫していること、今後の展望について榮倉さんへ話を伺った。

「売り上げは通常の2倍以上に」商品の魅力を引き出し、“ダイヤ”のように輝かせるプロ

実演販売士

イベント会場で実演販売士が商品紹介をしている様子

 そもそも実演販売士とは、「商品の良い部分を引き出し、その魅力を伝える」のを専門とする職業である。榮倉さんが所属するコパ・コーポレーションは、実演販売士派遣の先駆け企業で、今も約30名ほどの販売士が在籍している。 「世の中に商品として出されているものには、必ず魅力があります。それを見つけ出し、より輝かせることで、お客様の購入意欲を掻き立てるのが私たちの仕事です」(榮倉さん、以下同)  店頭や街頭での実演販売のほか、駅構内や展示会イベント、テレビ通販番組、ライブ配信など、あらゆる現場に出向き、持ち前のトークスキルを生かして購買につなげていく。  “盛り上げ役”として、“売るプロ”として。今日もいろんな現場で実演販売士は活躍しているのだ。  ちなみに、店の売り場に実演販売士がいるのといないのでは、どのくらい売り上げに差が出るのだろうか。 「実演販売する場所や扱う商品にもよりますが、通常の2倍以上は売れると思います。場合によっては10倍の売り上げに貢献することもあるので、実演販売士の存在感は絶大だと感じています」

実演販売士の先輩に感化されてオーディションへ応募

実演販売

現場で実演販売を行う榮倉さん。写真は、インスタグラム(@saya_eikura)より

 榮倉さんは十数年間、ずっとフリーのMCやナレーターの仕事を行っていたという。 「私は大阪出身で、幼い頃からとにかく話すのが大好きでした。土地柄、常日頃からお笑い番組が流れていて、自然とボケとツッコミの感性が育まれたような気がしています。女優に憧れて、いろんなオーディションを受けていくうちにMCの仕事に巡り合って。20代の頃はTVのリポーターやラジオDJ、イベントの司会など、喋る仕事を主に行っていて、一時期は“ふんどしアイドル”という一風変わった芸能活動もしていましたね(笑)」  そんな彼女が実演販売士に興味を持ったきっかけは、とある展示会場で見かけた“先輩のステージ”だった。 「そのときは、自分も他のブースでイベントMCをやっていたんですが、偶然にもジャンプ中澤さんというコパ所属の女性実演販売士がステージ上で話しているのを見つけて。観客を巻き込むトーク力や臨機応変な対話力など、まるでショーを見ているかのような“カリスマ性”があり、非常に感銘を受けたんです。  実はちょうど、イベントMCやナレーター以外にも何かできる仕事はないかと考えていたのもあり、『この仕事がやりたい!』とすぐにオーディションを受けました」
次のページ
1日で2億売ったことも
1
2
3
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ