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「簡易トイレを1日に2億売った」実演販売士が意識する“思わず買いたくなる”対話のコツ

消費者の“五感”に訴えかけ、会話の「つかみ」を得るのが大切

 実演販売士として成果を出し続けるには、どのようなことが必要なのか。榮倉さんは「まず第一に、醸し出す雰囲気が大事になる」と説明する。 「どんなに言葉巧みにトークを展開しても、表情や言葉が胡散臭くなってしまえば、お客様からの信頼は得られません。そこを踏まえた上で、お客様の買わない理由をなくしていく『Yes But話法』を意識します。『ありがとうございます。でも〇〇なら、もっとお買い得でお財布にも優しいんです』という形で対話していくのが基本です」  さらに、“五感に響く表現”を織り交ぜ、消費者の心に訴えかけることが大事だという。 「実演販売は『一対多』のコミュニケーションなので、特定の言葉だけを使わず、端的に誰でもわかりやすい言葉を選び、トークを組み立てることが求められます。専門用語で“卓”を打つと呼ぶんですが、お客様の中には視覚情報を優先する人、耳で聞いた情報に興味を持つ人、5割引きや人気No.1など数字に反応する人、口コミを重視する人など、色々なタイプの人がいます。それぞれの消費志向を見極め、適切に対話していくことが肝になります。  実演販売士に必要なのは、一定のトークスキルに加えて、会話の『つかみ』を得るための傾聴力や理解力が重要になるでしょう。これらに加えて、商品が作られた背景や企業の思いを理解することで、説得力や共感につながります」  今後の展望について、榮倉さんは「子育てに便利な商材や赤ちゃん用品の実演販売に携わりたい」と目標を掲げる。  場を盛り上げ、 思わず買いたくなるトークを披露する実演販売士。伝え方、対話の仕方で“人の心を動かす”ことができるスキルは、他の場面でも応用できるのではないだろうか。 <取材・文・撮影(人物)/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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