仕事

「簡易トイレを1日に2億売った」実演販売士が意識する“思わず買いたくなる”対話のコツ

「実演販売士は天職だった」1日で2億売ったことも

実演販売士 もともと喋る仕事の経験が豊富だった榮倉さんはオーディションに合格。晴れて、実演販売士の世界へ入ることに。  現場デビューする前には、「売の極意塾」というコパ独自の研修をみっちり受け、実演販売士に必要なスキルやマインドセットを学んだという。その後、先輩の実演販売士とマンツーマンによる実地研修を通して、仕事の流れを覚えていったそうだ。 「幸いにも、先輩との相性が良く、言われたアドバイスを素直に実践したことで、独り立ちから3日目には1日20万の売り上げを達成することができました。レポーターの仕事だと、決められたセリフをベースに話していくわけですが、実演販売は枠にとらわれずにアドリブでお客様と話せるため、自分の得意なところが生かせると思いました。まさに実演販売士は天職だと感じましたね」  実演販売士の仕事のコツをつかんだ榮倉さんは、食品や化粧品、デジタル機器、テレビ、掃除機、ITソリューションなど、有形無形問わずにどんなものでも「誰かに役立つものなら売れる自信がある」と述べる。 「『1日に2億売った』というエピソードは、単価5,500円の防災用簡易トイレの商品を扱ったときでした。24時間放送のテレビショッピングで、60分の生放送を5回、再放送を2回実施し、トータルで売り上げが2億になったんです。報酬形態に関しては、イベントやテレビ通販に出る場合は固定の出演料がもらえ、コパの商品を扱う場合は歩合制のことが多いですね」

プレッシャーの克服法は「エナドリ飲んで、金のアイテムを身に付けること」

オンライン実演

オンライン実演を行う様子

 あまり苦労話がないという榮倉さんだが、さすがにコロナ禍では苦戦したと吐露する。 「コロナ禍で人流がほとんどなくなってしまい、コパの直営店にモニターを置いて『リモート実演』する試みを実施しました。リアルの場では、お客様に声をかけるタイミングを図れるんですが、モニターの前を通りかかる人に『こんにちは』と気を引くところから始めなければならなかったのは、結構辛かったですね。  接客している感じもしませんでしたし、何よりリモートで実演しても、商品の魅力が伝わりづらい。この時ばかりはうだつの上がらない状況でした」  そのほか、実演販売士の仕事を長く続けていると、「スランプに陥ってしまうこともある」と榮倉さんは話す。 「商品のスペックや魅力を伝える台本が、全く書けなくなってしまうことがあるんですよ。アイデアが浮かばない、どう表現したらわからないときは、家族に説明してみて反応を確かめるんです。また、今でも『全く売れなかったからどうしよう』というプレッシャーから、全く夜に寝つけないこともあります。  でも、絶対に仕事の日はやってくるので、現場に入ったらまずは声に出してみることを心がけています。お客様と喋っていくうちに『今日は大丈夫だな』と思えてくるんですよ。毎回、案件に臨むときはエナジードリンクを1本飲み、ゴールドの靴とアクセサリーを身につけるのを験担ぎにしていますね」
次のページ
消費者の“五感”に訴えかける
1
2
3
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ