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「国立医学部以外はクズ」と詰め寄る、医師になることを強要…“教育虐待”を行う親の正体

もし「結果を残せていなかったら」と考えた

 だがあるとき、「自分が精神的に追い込まれなかったのは結果論でしかなかったかもしれない」と思うようになる。 「しっかり学習に向き合ったからとはいえ、私は結果がきちんと残せた部類の人間だと思います。母の教育熱は常軌を逸した部分もありましたが、結果を出すとそれ以上は踏み込まれないですよね。しかし同じように取り組んでも、全員が同じ結果を得られるわけではありません。  真面目に取り組んでいても、結果が出ずに親から罵声や暴力を浴びせられるとすれば、その子にとっては地獄になってしまいます。事実、学校や家庭において『そんなんじゃ受からない』と必要以上の言葉をかけられて来ている子はたくさんいます。面談をおこなうにつれ、その多さに気づかされました」

塾生が現状を吐露しやすい環境を整備

   エースアカデミーが生徒の“声”を拾う方法は非常にユニークだ。 「成績が伸びない理由は複数ありますが、勉強面以外に起因する場合も少なくありません。塾生がどのようなことで悩んでいるのかを話してもらうのが面談の主な役割です。経験上、最も多いのは家庭内での悩みです。具体的には、親からのプレッシャーや、ひどい場合には暴力・暴言などがあります。  面談で直接打ち明けることが難しい場合もあると思います。そうした生徒のために、塾生のみが閲覧できるサイトを用意し、悩みを投稿してもらっています。その悩みに対して私が答えている動画を随時アップしています」
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「生徒同士が友人になること」を禁止する理由
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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