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「オーケー」が他のスーパーより稼いでいる理由。“安くできる”背景には2つの要素が

「平米辺りの売上」が平均的なスーパーより多い

スーパー市場自体は縮小傾向にあります。90年代後半にピークを迎えて以降、少子高齢化で縮小傾向にあり、2010年代は13兆円台で横ばいに推移しました。近年はコロナ禍による内食需要やインフレもあり、2022年に15兆円台まで持ち直しましたが、今後長期では減少傾向にあると予想されています。しかし、このような状況下にありながら、安さで消費者の心を掴んだオーケーは近年、著しく規模を拡大してきました。2020/3期から2023/3期の業績は次の通りです。 【オーケー株式会社(2020/3期~2023/3期)】 営業収益:4,360億円→5,090億円→5,251億円→5,534億円 店舗数:123店→128店→134店→142店 3年間で1,000億円以上も売上が伸びていることが分かります。そして店舗数も順々に増えており、2023年11月現在で東京・神奈川・千葉・埼玉の関東1都4県に146店舗を展開。関東での規模感は約140店舗を展開するスーパー「ライフ」と同じくらいです。 また、より細かくデータを見ていくとオーケーは店舗の運営効率にも優れていることが分かります。1店舗あたりの年間売上高は約40億円、平均売場面積は約1,600m²であり、そこから1m²あたりの年間売上高を算出すると200万円を超えます。一方、平均的なスーパーのそれは120万円前後と言われているため、限られた空間でより多く稼ぐことに成功しているのです。

“安さ”を実現する背景にある2つの要素

オーケー成長の原動力となっているのは何と言っても“安さ”にあります。しかしながら、その安さはどのようにして実現できているのでしょうか。まずあげられるのは「品ぞろえを重視しない仕入」です。パンや加工食品、お菓子など、一般的なスーパーでは各ジャンルについて様々なメーカーの商品を取り揃えています。 一方、オーケーではジャンルごと商品種は少なく、安いものがあれば集中して仕入れ、単価を下げる方針をとっています。今まで売られていた商品に代わり、他メーカーの商品が並べられていることは多々あります。商品棚の中身で変わることも多いため、いつもの商品を買えるとは限らないというデメリットもありますが、消費者は安さを享受できるのです。 また、「電気代の削減」もEDLPを支えています。スーパー1店舗当たりの水道光熱費は1か月で100~200万円と言われており、電気代は店舗にとって痛い支出の一つです。空調や冷蔵・冷凍庫、照明などで電気が使われていますが、オーケーでは飲料・酒類が常温で保管されているため、こうした部分で競合よりコストをカットできているとみられます。 特にウクライナ侵攻後は石油価格上昇に伴う光熱費の高騰にスーパー各社は苦しめられています。その他、競合より高い6円のレジ袋など、商品価格を下げるために他の部分の利便性を削るような施策がみられます。お客様本意を追求しすぎるのではなく、安さために自社本意の姿勢を貫いていることが安さの秘訣と言えるでしょう。
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「関西での勢力拡大」に向けた施策は?
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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