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昭和の全盛期には“全国2万台超”が稼働…「令和に生き残るエロ本自販機」のいま

VHSの浸透と業界の衰退

昭和のレトロ自販機ブームでも語りにくい、令和に生き残るエロ自販機のいま 黒沢氏が見せてくれた実物の自販機本はアリス出版「農村昆虫記」で、B5で64ページ。ミニコミ誌っぽい風情と趣を湛えていて好奇心をそそる。70年代末から80年頃までは銭湯の近くや、タバコ屋の角など、街中の道路に面した場所に堂々と置かれていたエロ本自販機。しかし、PTAなどから批判が相次ぎ、業者は自主規制で自販機にミラーフィルムを装着。昼間は商品が見えないようにするなど対策を行ったが、批判がやむことはなかった。 「市街地を追われて80年代半ばを過ぎるとコインスナックやコイン洗車場など、子どもが立ち寄らない場所へ移っていきました。その後、高速のインターチェンジや料金所、大きな街道沿いの空き地にも置かれ、仕事や旅行で夜中に車を運転するドライバー向けに販売していたということですね」

現存する自販機、新札に対応できない!?

 しかし、長距離ドライバーたちの夜の愛読書も、VHSの普及で自販機本は低迷。VHSのアダルトビデオを販売した自販機も、その後の取り締まりの強化とインターネットの普及によって衰退の道を辿ることになる。また、業者についても個人や法人、専業や副業など自販機ビジネスの形態はさまざまだったが、全盛期以降、新規参入者がおらず高齢化も非常に進行している。 「もう、減る一方という感じです。現在のエロ本自販機の購入者・利用者は、ネットやスマホに馴染みの薄い地元の高齢者であることがほとんどですね。2024年7月を目処に発行されるという新札に対応できず、そのタイミングで一気にその数が減るだろうと言われています」
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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