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昭和の全盛期には“全国2万台超”が稼働…「令和に生き残るエロ本自販機」のいま

話題にしづらいエロ本自販機

 昭和を思い出させるレトロ自販機がブームだ。ハンバーガー、トースト、うどん、ラーメンなどを販売する食品自販機が再び脚光を浴びているが……、忘れてはならないのが、国道の片隅などで、いつ来るとも知れぬ客を今日も待ち続けるエロ本自販機だ。今回は全国のエロ本自販機コーナーを巡り、2017年に「全国版 あの日のエロ本自販機探訪記」を著した黒沢哲哉氏にインタビュー。前編ではその歴史や現状などを黒沢氏が紹介する。 昭和の全盛期には“全国2万台超”が稼働…「令和に生き残るエロ本自販機」のいま「食品自販機などと同様、成人向け雑誌を取り扱う自販機は現在すでに製造されていないため、同じ古い自販機どうしで部品を使い回して稼働させているようですね。食品自販機に比べると、エロ本自販機はYouTubeなどのSNSでも話題にしづらいようです」

70年代には自販機専用のエロ本も発行されていた

 いちユーザーとしてエロ本自販機の最盛期に青春期を過ごし、自身も作家・編集者として雑誌などの仕事に長年携わってきた黒沢氏は苦笑しながら語る。エロ本自販機は、老舗自販機メーカーが1970年に開発したところからその歴史が始まっている。とある業者が雑誌自販機にエロ本を入れたところ売れ行きが急増。その後、全国に普及していったという。やがて他の自販機メーカーも続々と雑誌自販機に参入するようになり、1976年にはエロ本自販機の数は全国で2万3260台にものぼった。 「その頃に登場したのが“自販機本”と呼ばれる自販機専用に発行された雑誌です。取次業者が『自分たちでエロ本をつくったら、さらに利益率がいいのでは?』と考えてつくられ始め、70年代末から80年代にかけて最盛期を迎えました」  アダルトビデオの誕生以前、エロ本の中でも書店には流通しない自販機専用のエロ本として独自の進化を遂げていた自販機本はオールカラーで500〜600円。モノクロページ入りのものだと400円ほどで販売されていたという。
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実際に販売されていた自販機本とは?
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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