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昭和の全盛期には“全国2万台超”が稼働…「令和に生き残るエロ本自販機」のいま

全国のエロ本自販機を求めて

昭和のレトロ自販機ブームでも語りにくい、令和に生き残るエロ自販機のいま 昨今の昭和レトロ自販機ブームの恩恵も受けずにいるエロ本自販機だが、ネットなどでは情報共有が連綿となされてきたことも事実だ。その担い手の中心はドライバーたちのコミュニティで、自動車専門SNS「みんカラ」では「EJ(エロ本自販機)」の隠語で呼ばれてきたらしい。過去には伊集院光氏のラジオ番組などでも取り上げられたこともある。 「2000年代の後半くらいから本格的にネットが一般に普及し、2ちゃんねる掲示板のドライブ系スレや個人ブログで、エロ本自販機の情報交換が細々とされていくようなったんですよね。“怪しい自販機”“オトナの自販機”などと呼ばれていましたが、私もその頃にエロ本自販機のことをふと懐かしく思い出し、ネットで少し探してみたらとくに地方ではまだやたらと残っていること知りました。それから本格的にエロ本自販機について調べるようになったという感じです」

エロ本自販機はアダルト業界のSDGs的事業!?

 黒沢氏曰く現在稼働中のアダルトグッズなどを扱う自販機スポットは、日本全国で約500か所。中でもエロ本を扱う雑誌自販機となるとその数はさらに少なくなる。VHSなどが普及して以降は“ゾッキ本”と呼ばれる見切品や売れ残り商品など取り扱いが増加。現在も稼働を続ける自販機は、アダルトDVDやその他アダルトグッズの新古品などを販売することが多いようだ。 昭和の全盛期には“全国2万台超”が稼働…「令和に生き残るエロ本自販機」のいま 現在取り扱っているエロ本の現物を見せてくれた黒沢氏。A4サイズの笠倉出版社「特撰五十路妻」、サンデー社「爛熟女盛り」といった現在でも流通している熟女系のエロ本が並べられた。 「雑誌にしろDVDにしろ、基本的には一山いくらの二束三文で仕入れてきた市販の成人向け商品です。レンタル用DVDなどもショップから大量に引き取って販売しているらしく、有名女優や大手メーカーの商品もありますが最新作などはありません」  さらに、近年のコロナ禍では普段アダルトグッズを売っている自販機を使って、PCR検査キットを販売していた業者もおり、発見したときは驚きを隠せなかったという。近い将来その姿を消すことが確実視されているエロ本自販機。東京23区では江戸川区に唯一のエロ本自販機が長年稼働していたそうだが、この8月に閉店。そうした状況下ではあるものの、取材を続ける中でまだまだエロ本自販機の存在価値を見出している黒沢氏。 「エロ本自販機スポットで人の気配を感じると、つい気になって遠目から観察してしまうんですけど、これまでに老カップルを3〜4組ぐらい見かけたことがありますね。青森で坊主頭の中高生ぐらいの2人組の男子がニヤニヤしながら、エロ本自販機小屋に入っていくのを目撃してしまったこともあります。令和の時代に素朴な少年たちもいるもんだなと(笑)。今はその自販機もなくなってしまいましたが」  後編ではエロDVDやアダルトグッズを今も販売している葛飾区堀切の自販機を実際に訪問。とくに強烈な印象を残したエロ本自販機スポットなどを黒沢氏に振り返ってもらう。 <取材・文/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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