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“ひとり負け”のかっぱ寿司。買収したコロワイドの「外れた目論見」――2023年大反響トップ5

牛角、かっぱ寿司、大戸屋を傘下に

2010年代からは大物に狙いを定めます。2012年に「牛角」、「土間土間」を展開し債務超過に陥っていたレックスHD(現:レインズインターナショナル)を買収したことで話題となりました。 2014年には回転寿司チェーンで地位を落としていた「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトHDを子会社化、コロナ禍の2020年には敵対的買収により大戸屋HDを子会社化しました。 コロワイドは業績不振の企業を買収して規模の経済を活かしながら再生を図る戦略をとっており、本部はマーチャンダイジング(店舗・商品・物流等におけるグループ全体の方針決定)に特化しています。コロナ禍直前の2018年度には売上収益2,400億円の規模にまで成長しました。

牛角のおかげで“脱・居酒屋”には成功

大手飲食チェーンを傘下に置くことで確かに規模を拡大してきたコロワイドですが、利益面は低調に推移しています。2012年度から2017年度までの間、売上収益は1,283億円から2,459億円と約2倍になったのに対し、営業利益は40~60億円台を推移し続けました。 とはいえ利益は低迷しているものの、売上に対する居酒屋比率は約6割から3割以下まで低下しており、脱・居酒屋には成功していると言えます。脱居酒屋化に大きく貢献したのが「牛角」です。 近年では競合店の方が話題となっていますが、約300店舗の「焼肉きんぐ」や200店舗弱の「七輪焼肉安安」を抑え、牛角は約600店舗と依然業界トップを走っています。 コロワイドは2023年3月期2Q時点で、グループ全体2,717店舗に対し約半数の1,214店舗が焼肉・しゃぶしゃぶ業態です。居酒屋業態に固執していれば今のコロワイドは無かったことでしょう。
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“ひとり負け”かっぱ寿司。V字回復できず
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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