一方、埼玉に本拠地を構える「ベルク」はプロレスを全面的に推して他スーパーとの差別化を図っている。その理由を社長の原島一誠氏は次のように語る。 「自分がプロレス好きで去年から始めました。最初は観戦チケットが当たるというキャンペーンからスタート。今年は2回目で全日のホテルで行われるプロレスショーが当たるキャンペーンもやって、満を持して’24年1月4日の『WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム』の冠スポンサーにもなりました」 プロレスは男性客をリピーター化させる絶大な効果を発揮しているようだ。 「自分も毎日前を通るけど入ったことはないお店がたくさんあります。そこでいかに入店してもらえるかが、販促のカギ。例えば大根が安い、キャベツが安いと言っても男性には響かない。それならイベントをやったほうが来店動機になるのかなと。折り込みチラシでは誘客できない層に響くのがプロレスのよさですね」（原島氏） こうした傾向について、「他にはない発想でアプローチをかけるスーパーが増えています」と語るのは流通アナリストの中井彰人氏だ。 「まず挙げられるのはいま話題のオーケー。ナショナルブランドの値引きに力を入れて差別化を図っているスーパーです。その分の採算は生鮮品や総菜の売り上げで相殺するというバランスのいい経営をしています。 それから、埼玉県が誇るヤオコーから誕生したばかりのディスカウント型スーパーのフーコット。圧倒的な品揃えがウリで陳列を眺めているだけでも楽しめます。低所得層を狙っているため弁当のほとんどが300円以下で買えるというのも魅力的です」