日本一TVに出るスーパー「アキダイ」が「ロピア」傘下に。買収を受け入れた理由を名物社長が語る
連日値上げラッシュが報じられるなか、小売りの雄・スーパーマーケットはいま地殻変動の真っただ中にある。近年は独身男性をターゲットにしたこだわり商品に力を入れる店舗も急増。もはや「スーパーは主婦の主戦場」という固定観念は破壊されつつあるのだ。そこで今回、男のオアシス化した業界の歩き方を指南する。
いま、スーパーマーケット界隈は激しい戦国時代を迎えている。「東」は昨年10月に銀座に進出し大きな話題となったオーケーから、「西」は天下無双の関西スーパー&イズミヤ&阪急オアシス連合まで、安さと品質を同時に兼ね備えた大型チェーンが、中小にM&Aを仕掛けるなど弱肉強食の国盗り合戦が繰り広げられているのだ。
これに比例するように、「売り場」も大きな進化を遂げている。埼玉県を中心に展開するヤオコーは、総菜コーナーにオープンキッチンを設置。“見える化”させて積極的に試食販売を行っているほか、東京・神奈川を拠点に存在感を発揮するリコスはサラダや総菜の量り売りを展開し幅広い層から支持を得ている。
「これまではスーパーの主なターゲットといえば主婦層でした。ですが、ここ数年は男性客も頻繁に利用するようになっています」
そう語るのは、年間テレビ出演本数300本を数えるスーパーマーケットチェ―ン「アキダイ」の名物社長・秋葉弘道氏だ。
「コロナを機にテレワークが増え、男性も家事を分担するのが当たり前になった。スーパー側も独身男性やタイパを求める人が増えたことで、利益率がよくオリジナリティも出せる総菜やピザなどに力を入れており、水面下では総菜会社を買収する動きも出てきています」
実はアキダイも、業界再編の大波に呑み込まれようとしている。昨年10月、破竹の快進撃を続けるスーパー、ロピアから提案されたM&Aを受け入れたのだ。
「実はロピアとは別に、これまで何度もウチを『買いたい』という話はありました。この世界は仕入れがすべて。生産者や市場担当者との信頼関係がないと成り立たないので、アキダイが長年培ってきた信頼をM&Aで手に入れれば、それをテコに参入障壁を突破できると考えてのことでしょう。ただ、アキダイの未来を担う若い従業員のことを考えると、身売りするという決断には至りませんでした」
実際、秋葉社長が’22年に出版した自伝にも、「(買収提案は)すべてお断りしている」と書かれている。この間、どのような心境の変化があったのか。
「やはり、ロピアの社長(高木勇輔氏)に惚れ込んだというのが大きい。アキダイの屋号も残したうえで、『秋葉さんの好きにやってもらえますか』と言ってくれて……。何より、アキダイで育った若い世代のコたちが思う存分活躍する場所が確保されたというのが決め手になりました」
すでに秋葉社長は、アキダイの未来のビジョンも思い描いているという。
「抜群においしいのに後継ぎがいない生産者さんから受け継いだエノキやレンコンなど、いまはアキダイのPBも育てています。今後は1年に3店舗ずつ出して、3~4年後には年商100億円を目指しているので、今後もアキダイを末永くよろしくお願いします」
秋葉社長の飽くなき挑戦はまだまだ続きそうだ。
スーパーの「売り場」が大きな進化を遂げている
これまで何度もウチを「買いたい」という話はありました
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『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』 「1%の努力と99%の感謝の気持ち、そして、『この仕事を好きになる』のプラスαがあれば夢は叶う――」 |
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