更新日:2024年01月05日 14:57
お金

若者の間で進む“着物離れ”…斜陽産業で生き残ることの難しさ

広告宣伝費の抑制で売上減から抜け出せず…

 京都きもの友禅のYU-WA Creation Holdings は、主力の振袖の不振に苦しめられています。2023年3月期の振袖販売の受注高は前期比35.1%減の12億6000万円でした。受注単価が1割近く落ちただけでなく、受注件数が2割以上減少しました。  YU-WAの振袖事業は、コロナ禍を機に大きく変わりました。2020年3月期の振袖販売の受注高は32億4000万円。翌期に4割減少して20億円を下回ります。そこから回復することなく、受注高は落ち続けるのです。その受け皿がレンタルになっているわけでもありません。2020年3月期の振袖レンタルの受注高は6億1000万円。それ以降は5億円を一度も超えていません。  京都きもの友禅は振袖チェーンの中でも知名度の高いブランド。売上減には、広告宣伝費の抑制が影響しているでしょう。  YU-WAはコロナ禍の2021年3月期において、広告宣伝費を5割縮小しました。2022年3月期は更に1割程度抑えています。YU-WAは2023年3月期に営業赤字に転落しており、広告宣伝費を投じる体力を失いました。市場が縮小する中でシェアも手放すという悪循環に陥っています。

「写真館」の領域を倍増させる目論見が

 そこで、注力領域に掲げたのが写真館でした。2023年3月期のこの事業の売上高は2億円でしたが、2026年3月期に4億円近くまで伸ばす計画を立てています。  写真館は、振袖の購入やレンタルをした顧客を送客できるため、大がかりな広告宣伝費が必要ありません。総力戦で生き残りをかけました。
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“着物離れ”が進む理由は…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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