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V字回復した「USJ」と「西武園ゆうえんち」の共通点。“立役者”の次なる舞台は沖縄とお台場に

施設の古さが問題になっていた「西武園ゆうえんち」

こうした「リノベーションの思想」は、もちろん、当初のUSJに新規アトラクションを建設するだけの金銭的余裕が無かったことに起因しているだろう。それでも森岡は、その後もさまざまなテーマパークのプロジェクトでこの「リノベーションの思想」と思える方法を選んでいる。 例えば、2020年にリニューアルした「西武園ゆうえんち」もその一つだ。 西武園ゆうえんちは1950年に誕生した遊園地で、森岡が経営に参画する前は、その施設の全体的な古さが問題となっていた。このとき、森岡が取った方法が、その古さを逆に利用する、ということであった。つまり、リノベーションである。

「古さ」が一転して「武器」に

全体のテーマを「昭和ノスタルジー」とし、懐かしい昭和時代を彷彿とさせるような建物やアトラクション、イベントなどを仕掛けていったのである。こうすることにより、ネックになっていた「古さ」は、逆にテーマパークの「テーマ」に寄与できる「武器」に変わった。 もちろん、西武園ゆうえんちの人気を再燃させたのは、ゴジラの新アトラクションなどを取り入れたこともあっただろう。しかし、プロジェクトの中には、確かに「リノベーションの思想」が見られるのだ。 このような文脈を踏まえれば、「JUNGLIA」の構想の意味合いもはっきりと見えてくる。それは、そこに元々あった「沖縄の自然」というものを、どのように「リノベーションできるのか」ということに対する森岡の挑戦なのではないか。森岡のマーケティング手法はこの点において一貫しているのだ。
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お台場「ヴィーナスフォート」が生まれ変わる
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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